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永 世

最近、29連勝というとんでもない記録を打ち立てた天才中学生・藤井四段の登場で、将棋人気が高まっているようです。

実は私も昔から将棋好きで、小・中学生時代は独特の風貌と野性味溢れる升田幸三・実力制第四代名人のファンでした。

拙ブログでもその升田元名人に関して何度か記事にしましたが・・・今日は、彼の終生のライバルにして棋界に一時代を築いた

 大山 康晴 永世十五世名人

の命日・没後25周年にあたります。


       


大山永世は1923(大正12)年、現在の岡山県倉敷市に生まれました。

小学校1年生の時、なかなか病気が治らなかった大山少年は、将棋を指すとなぜか熱が下がったそうな。

それを見た両親が本格的な将棋の修業をさせようと決心し、高学年の時に隣町の将棋大会で全勝優勝し、バケツや洗面器などの商品をもらったことで自信をつけた彼は、12歳の時に大阪へ。

小学2年の時に倉敷で行われた将棋大会を見学に行った際、威厳のある羽織・袴姿で感銘を受けた木見金治郎九段に入門。

1940年に17歳で四段となってプロ棋士に。

1944年に招集されましたが、上官が将棋好きだったおかげで最前線に出ることなく無事復員して順調に昇段を重ね、1948年には早くも名人戦の挑戦権を獲得。

この時は塚田正男名人に敗れたものの、この年A級八段に昇段した彼は、1950年に新設された公式タイトル『九段戦』を制し、初代九段に。


そして1952年には木村義雄名人を下し、29歳で念願の実力制・第三代名人となり、以後5期連続防衛して永世名人の資格を獲得しました。

ここで大山永世の行く手を阻んだのが、木見門下の兄弟子であった、我らが升田幸三でした。


〝新手一生〟を唱え攻撃型の将棋を得意とする彼は、1955年に大山永世から王将位を奪取。

この時、規定で香落ちのハンディ戦となり、升田王将は大山永世に見事に勝利を収め、かねてより公言していた〝名人に香車を引いて勝つ〟ことを実現したのです。

この敗戦を 「ハラワタがちぎれるほど」 悔しがった大山永世は、1957年の名人戦でも敗れ王将・九段・名人のタイトルを全て升田三冠に持っていかれ、無冠に転落。

       

         1957年の名人戦で敗北を喫した大山永世(右)   


しかし大山永世は、ここから更に強くなっていきます。

その後同年に王将戦、翌年に九段戦と続けて升田名人を撃破すると、1959年の名人戦でも勝ち、一転して升田氏を無冠に追い込み自らが三冠に。

その後名人戦は1972年に中原誠九段に敗れるまで、12期にわたり防衛。

その間新設された『王位』(1960年)・『棋聖』(1962年)も制し、五冠を独占。

1963~66年にかけて、これらタイトル戦を19連勝という離れ業をやってのけました。

その後中原名人に悉くタイトルを奪われ1973年に無冠になったとはいえ、次々と若手が台頭するプロ棋界にあって50歳直前までタイトルを保持したのは、驚異的。

そして私が驚くのは、無冠となり全盛期を過ぎた後も63歳で名人戦に、そして66歳で棋王戦に挑戦したこと。

また自ら 「A級から陥落したら引退する」 と公言し、幾多の危機を乗り越え、またガンに侵されながらも1992(平成4)年7月26日に69歳で亡くなるまで、一度も休場することなくその地位をキープしたこと。

羽生・元七冠にタイトル獲得回数は抜かれたものの、通算1,433勝は歴代1位。

もう鉄人・・・いや、仙人の域と言っても良いでしょう。

まして対局だけでなく、日本将棋連盟の会長を13年間勤め、また東京・関西の将棋会館建設に建設するなど、棋界の発展にも大きく寄与しました。

将棋界で初めて文化功労者として顕彰されたのも、当然といえましょう。


       

         『勝負の心』 (大山康晴・著 PHP研究所・刊)


大山永世の棋風は、正攻法であり、相手に攻めさせるだけ攻めさせて受け切る・・・いわゆる横綱相撲。

羽生・元七冠をして、「最善手を追求しない」、「まぁこんなところだろうという感じで手が伸びてくるのがピッタリハマる、まさに名人芸と言える指し回し」 と言わしめる、何とも言えぬ奥深さがあったようです。

冒頭申し上げた通り、私は野武士のような独特な雰囲気を持つ織田信長タイプの升田・元名人の大ファンで、反対に牛乳瓶の底のような眼鏡をかけて〝忍〟をモットーとし〝七転び八起き〟を座右の銘とする、地味な徳川家康タイプの大山永世は好きではありませんでした。

しかし大人になり経営者の端くれとなった今、好き嫌いを超越して大山永世の勝負に賭ける執念と忍耐強さに敬服せざるを得ません。

あらためて、〝棋界の巨人〟のご冥福をお祈り致します。笑3


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