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発 禁

私の愛読誌・月刊 『致知』 8月号の [巻頭の言葉] は、茶道裏千家前家元・千玄室氏のエッセイ〝日本人はもっと日本を知れ〟でした。

その中で紹介されている書籍に興味を持った私は、すぐに買い求めて読み始めました。 それは

 『アメリカの鏡・日本 完全版  (角川ソフィア文庫・刊)


      


原題が “Mirror for Americans: JAPAN ” というこの本の著者は、アメリカ人の東洋学研究者、ヘレン・ミアーズ女史(1900-1989)


        

                Helen Mears


ニューヨークで生まれ、メリーランド州のガウチャー女子大学を卒業した彼女は、1920年代から日米開戦直前まで東洋史・地政学を研究し、2回の来日経験が。

2度目(1935年)は北海道旅行を含め8ヶ月滞在し、帰国後はジャーナリストとして活躍。


日本専門家として注目された彼女は、戦時中ミシガン大学などで陸軍省の占領地民政講座で講義したり日本に関する論文 『日本国天皇論』 を発表。

そして終戦後はGHQの諮問機関・労働政策11人委員会のメンバーとして再来日し、帰国後の1948年に同書を出版したとのこと。

で、私がなぜこの書籍に興味を持ったかというと、以前拙ブログで紹介した同じアメリカ人による日本に関する著作で有名な 『菊と刀』 の著者ルース・ベネディクト女史は一度も来日していませんから、そのことだけを以てしても、彼女より正しく日本の実像を捉えているという期待感があったから。

 ※『菊と刀』に関する過去記事は、こちら。(↓)

  http://ameblo.jp/warmheart2003/entry-11025834299.html


そしてそれ以上に、同書が出版翌年にアメリカで発禁処分となり、マッカーサー司令長官が

「占領下の日本において本書が翻訳されることは、事実とプロパガンダを区別できない日本人にとって悪影響が考えられる。」

等として、和訳出版を認めなかったから。

つまり戦勝国アメリカにとって都合の悪い事実が書かれているということに他なりません。

同書の和訳本は、サンフランシスコ条約締結の翌年(1953年)にようやく出版されましたが、なぜか殆ど注目されなかったとか。

私自身も、今まで同書の存在を知りませんでした。

皆さんにも是非読んでいただきたいので具体的な中身は敢えてここではご紹介しません・・・というより、中身が濃すぎて要約などできない、というが正直なところ。

日米どちらにも偏ることなく俯瞰的かつ数字を挙げて具体的に両国の力関係や歴史を見つめた、日本近代史・外交史を学ぶには(一部日韓関係などに認識の誤りがあるものの)絶好の参考書だと思います。

戦後直後に、しかもアメリカ人がこういう主張をしたことは驚くべきことだ・・・というのが、私の読後感。

私たちはこの書籍を通して、自分たちが忘れていた日本人像を思い出すべきでしょう。

また同書を補完する意味で、ミアーズ女史が執筆した:理由・経緯や彼女の人生を追った


『忘れられた日米関係 ヘレン・ミアーズの問い
             (御厨 貴・小塩 和人 著  ちくま新書・刊)

       


も併せ読んでいただくと、より理解が深まるかと。

洞察力が鋭過ぎたせいか、戦前は日本の専門家として脚光を浴びたものの、戦後同書を出版した後のミアーズ女史は先鋭的なアメリカ批判論者と捉えられて出版業界からは疎まれ、後半生は苦しい生活が続いたようです。うー

勝てば官軍、歴史は勝者が自分たちに都合よく作るもの。

しかしこの2冊は、史実はその勝者が作った歴史の陰にこそ有ることを、私たちに示してくれます。

千玄室氏は、エッセーの最後をこう結んでおられます。

「今日の多様な世の中で国に対する筋の通った観念がなかなか思うようにならないだけに、あまりにもアメリカ一存の民主化がはびこって、自由を基にした自我が民主主義だと思い込まれたことの間違いを、何とか是正しなければならない。

とかく長い歴史の中に伝統と伝承によって受け継がれてきた日本文化や生活のあり方の合理性且つ衛生的、そして清潔さをモットーとしてきたことを確実に知り、身に着けることをしなければ、ミアーズ女史に申し訳ないのである。」


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