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楽 聖

クラシック音楽の作曲家といえば、多くの方がまず最初にその名を思い出すであろう、古典派音楽史上に燦然と輝く巨星・・今日は、その


 ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン

        Ludwig van Beethoven


の命日・没後190周年にあたります。


      


1770年、祖父が宮廷楽長・父が歌手という音楽一家に生まれたベートーベンは、父が酒浸りであったことと、16歳の時に最愛の母を病気で失ったため、早くから音楽で一家の生計を立てなければならないという宿命を背負います。


14歳年上だったモーツァルトへの弟子入り直前に母の病状悪化が重なってしまい、その願いを果たすことが出来なかったものの、ウィーンに移住後はピアノの名手として名声を得たベートーヴェン。


しかし20歳代後半から聞こえにくくなった耳の病状は悪化の一途を辿り、40歳代後半からは殆ど聞こえなくなっていたにも拘らず、数々の大曲・名曲を残したことは皆さんもご存知の通り。


古典派からロマン派への大きな流れの中ブラームスやワーグナーに多大な影響を与え、ピアノを習う方ほぼ全員がお世話になる (リストの師でもあった) ツェルニーが優秀な弟子でもあったというベートーベンの存在は、音楽史の中で最重要の位置を占めています。    


残されている彼のエピソードには、その変人・奇人ぶりを伺わせるものがたくさん・・・。


◆ 生涯で70回以上転居を繰り返した引越し魔。

◆ 服装に無頓着で、浮浪者と間違えられて逮捕されたことがある。

◆ 強い癇癪持ちであり、弟子たちはしばしば楽譜を投げつけられたり、

   噛みつかれたりした。

◆ 部屋の中は乱雑だった一方、飲むためのコーヒー豆は、必ず60個

   数えて挽いていた。


等々、枚挙にいとまがありません。


(※一方で、有名な交響曲第5番の 「運命はこうドアを叩く・・・」 というエピソードなどは、彼の伝記を著したA・シンドラーの虚言癖が明らかにされていることから、信憑性に乏しいとされてはいます。)


しかし驚嘆すべきは、彼の計り知れない精神力の強さ・自己確立の素晴らしさだと、私は思うのです。


音楽に生きる者が聴力を失うことは、どれほど絶望的なことか・・・自身、有名な 〝ハイリゲンシュタットの遺書〟 を32歳の時に認め自殺も考えるまで追い込まれながら見事そこから立ち直り、大作曲家として名を残したことは、並の精神力ではないでしょう。


また、それまでの音楽家は貴族などのお抱えとして生計を立てていたのに対して、彼は一切の施しを拒否し、あくまでも一般大衆に対して作品を発表するという画期的なスタイルの転換をも果たしました。


肺炎などを悪化させ、1827年3月26日に56歳で天に召された彼の葬儀には、2万人以上もの一般大衆が押し寄せた一方、曲を献呈された貴族は誰一人として参列しなかった・・・という逸話が、彼の信念を彷彿とさせます。


       

               ベートーヴェンのデスマスク

彼の生涯や作品に関してもっと詳しく知りたい方には、この書籍がオススメ。

 『ベートーヴェンの生涯』(青木やよひ・著 平凡社・刊)


       ベートーベンの生涯


著者は、東京薬学専門学校(現・東京薬科大学)卒業後に出版社勤務を経てノンフィクション作家に転進したという、一風変わった経歴の女性。

ですが後半生をベートーヴェン研究に捧げ、1959年には世界で初めてベートーヴェンの“不滅の恋人”をアントーニア・ブレンターノと断定するエッセイを発表。

以後この説が資料によって裏付けられるなど、その研究内容はドイツ語に翻訳される程非常に高い評価を得ているとのこと。


ベートーヴェンの伝記といえば、ロマン・ロランのものが有名。


同書は、自らをベートーヴェンの親友(秘書)と名乗っていたシントラーの著作 『ベートーヴェンの生涯』 をベースにしていますが、前述の通り現在では彼に虚言癖があったため、その信憑性は著しく低下しています。


青木氏は彼の残した情報を否定し、自らドイツ・オーストリアを訪れるなどして膨大な資料・書簡等から時系列でベートーヴェンの行動を紡ぎ出し、検証しています。


彼女の遺著となったこの渾身の一冊は、クラシック音楽ファンならずとも読む価値は十分あると思います。


ベートーヴェンが遺した最期の言葉は、「諸君、喝采を。喜劇の終わりだ。」 だったとか。


彼の人生が喜劇だというなら・・・私の人生は悲劇? それとも、三文芝居? うー

そんなことを考えつつ、今宵は季節外れ(?)の〝第九〟を聴きつつ〝楽聖〟の冥福を祈りたいと思います。

皆さんにとって、最も思い出深きベートーヴェンの曲は何ですか?


            


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