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DNA

今から18年前の今日・1997(平成9)年3月19日、東京都渋谷区にあるアパートの一室で、女性の他殺死体が発見されました。 これが世に言う

 東電OL殺人事件


の発端となります。


被害者は当時39歳で、東京電力・東京本店に勤務していたWさん。

彼女は慶應義塾大学経済学部を卒業し、東電初の女性総合職として入社した才女でしたが、その後の捜査で勤務が終わった後は発見されたアパート付近の路上で男性を勧誘し売春行為に及んでいたことが判明。

2つの顔を持つ被害者として、当時話題になりました。


       

       <遺体発見現場となった渋谷区円山町のアパート>

遺体発見から2ヶ月後に逮捕されたのは、第一発見者でアパートの隣に住むネパール人でした。

彼は不法滞在者であり、被害者と数回肉体関係を持ったことが判明したものの、確たる証拠もなく本人が一貫して犯行を否認したため、2000年4月に東京地裁が下した判決は無罪。

しかし検察が控訴して行われた控訴審では、東京高裁が同年12月に一転して無期懲役の有罪判決、更に2003年10月には最高裁が被告側の控訴を棄却し有罪が確定し、ネパール人被告は収監されました。

しかし2006年、ネパール人被告は日本国民救援会や日弁連の支援を受け東京高裁に再審を請求。

そして2012年、高裁は再審の決定を下し、ネパール人被告は釈放。


不法滞在だったことで国外退去処分となり、ネパールに帰国。


同年11月、東京高裁は異例の早期無罪判決を出したのです。

その決め手は、DNA・・・被害者の爪から別の男性のDNAが検出されたことでした。

「被告以外が犯人である可能性を否定できない」 として、有罪を主張していた検察側が一転して無罪を主張。

これによりネパール人被告の無罪は確定し、彼には刑事補償として限度いっぱいの6,800万円余が支払われたといいます。


一連の経緯について詳細を知りたい方には、この本がオススメです。

 『再審無罪』 (読売新聞社会部・著 中央公論新社・刊)


      

桶川ストーカー殺人事件の真犯人は、ジャーナリストの綿密な取材によって判明しましたが、実は本事件の再審請求が認められたキッカケも、この読売新聞のDNAに関するスクープ記事でした。

この本を読むと、警察の取り調べが時代劇に出てくる番所と殆ど変わらないこと、そして可視化が必要不可欠であることが良く分かります。

そして同書の副題〝DNAの暴いた闇〟の如く、DNA鑑定の進歩と共に、それをどう判断するかによって判決が全く変わってしまうことも。

一審では被告以外が犯人である可能性を示唆し無罪になったのに、二審では逆に決定的な証拠であると認定し有罪。

その証拠能力と可能性の判断が裁判官によって全く違うことに、あらためて司法の曖昧さというか怖さを感じます。

その点に関し、以下の事実があったことも書き添えておきます。

一審で無罪を言い渡した裁判長は、その後八王子支部に異動(左遷)され、退官。

一方高裁で無期懲役を言い渡した裁判長は、この事件以前にやはりDNAが決め手となった冤罪裁判として有名になった足利事件の被告にも、有罪判決を出しているのです。

そしてもうひとつは、被害者女性Wさんの勤務先だった、東電に関して。


彼女の上司は、当時取締役企画部長だった勝俣恒久氏。

そう、東日本大震災が起きた時の代表取締役会長だった人物。

実はWさんの父親も東電の工務部に勤務し、社内で原発の危険性を指摘し降格させられており、彼女自身も同様の指摘をする報告書を作成していたとか。

つまり東電内ではタブーに触れる危険分子(?)だったと言えましょうか。

一説にはWさんが娼婦のような行動に走ったのは職場内でのストレスが原因とも言われていますが、彼女が殺害されたのはプルサーマル計画が本格始動した時期と重なり、勝俣氏は翌年常務取締役に昇進・・・これは、単なる偶然なのでしょうか?

司法と東電という巨大組織の闇は深いようです。

そしてもうひとつ、肝心な問題が残っています。

それは・・・未だにこの殺人事件の真犯人が捕まっていない、ということ。うー




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