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ワ ル

保険金詐取を目的とする殺人(未遂)事件は過去に何件も起きており、その中でも有名なのは1981~2年にかけて起きた所謂 『ロス疑惑』 でしょう。

これは1984年に週刊文春が〝疑惑の銃弾〟と銘打ってその事件を報じ、日本中の注目を集めました。

当時私は損保マンだったので、社内の会議や飲み会の席では盛んに話題になりましたが・・・その記事が出る10年前に起きたこの


 別府三億円保険金殺人事件

は、元祖・劇場型犯罪と言えるほど派手な展開を繰り広げました。 


今から42年前の今日・1974(昭和49)年11月19日午後10時頃、大分県別府市の国際観光港第三埠頭で時速40kmで走行していた乗用車が海に転落。

海面に浮上した荒木虎美(当時47歳)は居合わせた釣り人によって助けられましたが、その後引き上げられた車の中から、彼の妻と12歳と10歳の二人の娘が溺死体で発見されました。


彼は運転していたのは妻だったと証言しましたが、彼が妻と二人の娘に5社合計で3億1,000万円にも及ぶ生命保険をかけており、契約後僅か12日後の事故だったこと、また荒木本人は保険に加入していなかったことで、疑惑は一気に広がりました。

この荒木という男は1927年生まれで、特攻隊の生き残りだったとか。

しかし愛人を妊娠させ、それを堕胎させた医師を「堕胎罪で告発する」と恐喝したのを皮切りに、火災保険金を騙し取ろうとして家屋に放火したり、傷害事件を起こすなどして刑務所行きを繰り返し、〝九州一のワル〟と言われていたそうな。

その彼が出所後不動産業を始めた際、「母子家庭を紹介してほしい」と頼まれた町会役員が世話したのが、亡くなった妻の玉子さん(当時41歳)でした。

彼がこの犯罪を思いついたのは、1969年にアメリカのエドワード・ケネディ上院議員が飲酒運転でクルマを海に転落させ同乗していた女性が死亡した『チャパキデック事件』だったといいますから、おそらくその縁組の紹介依頼をした時点で、この犯罪を企んでいたのでしょう。

結婚後僅か3か月後に起きたこの事件に世間の注目は否が応でも集まりましたが、驚いたのは荒木本人がテレビに出演したこと。

        

               左から2人目が荒木虎美

12月11日に寺島純子さんが司会を務めるフジテレビ系ワイドショー『3時のあなた』に出演し身の潔白を主張したものの、出演者から供述の矛盾点を突かれると激高し、

「私の言う事が信じられないなら、自分で水中に飛びこんで実験してみたらどうです。 あなたがた、車ごと海に飛び込んでごらんなさい。 失礼じゃないか。 私は帰る!」

と捨て台詞を残して生放送中に途中退席。

そしてフジテレビを出たところで警察に逮捕されるという、実にドラマチックな展開に。


実際にクルマを海に転落させる実験までして行われた裁判は、「有罪なら死刑、無罪なら億万長者」 といわれ判決が注目されましたが、一審・二審とも死刑判決。

控訴中の1989年1月、荒木は癌性腹膜炎により61歳で死亡。
最高裁は控訴を棄却し、真相は永遠に藪の中となりました。

とはいえ、あらゆる状況証拠からそれは推測するに難くはないでしょうが・・・。

ちなみに、この事件を素材にして松本清張氏が書いた

 『疑惑』 (文春文庫・刊)

       


という作品があります。

この事件を知らない世代の方にも、読んでいただきたい秀作ですョ。

意外なラストに、ちょっと驚くかも・・・。


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