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アルデンテ

わざわざ解説する必要はないとは思いますが、アルデンテ(al dente ) とは、パスタを食べた時に歯応えが残る茹で上がり状態の目安というか表現。

このアルデンテにまつわるエピソードを、落合 務が月刊『致知』5月号に掲載された対談の中で語っておられましたので、以下に抜粋・編集にてご紹介致します。

落合シェフは、今年で70歳。

現在〝日本一予約が取れない〟ことで有名な『ラ・ベットラ』のオーナーであり、テレビ・雑誌に数え切れないほど登場している日本を代表するイタリアン・シェフ。

お話は、その彼がフランス料理を勉強しに渡欧し、たまたま帰国時にローマに寄ってイタリア料理に出会い、まだ日本には数えるほどしたイタリア料理店がない時代・・・35歳頃にイタリアンレストラン『グラナーダ』の料理長を引き受けた頃の事。

          ◆     ◆     ◆     ◆


(落合シェフが修業時代にお世話になった)桂洋二郎さんというオーナーが1982(昭和57)年に『グラナーダ』をオープンさせることになり、僕が料理長をさせていただくことになりました。

最初は30席くらいのお店を考えていたんだけど、どうせやるなら大きいのをやろうという話になって、結局100席に。

「100席もどうやって埋めるんだょ」っていうのが、率直な気持ちでした。

何しろ当時はイタリア料理なんて殆どの日本人が食べたことがありませんでしたから。

スパゲティといっても、まだナポリタンかミートソースくらいしかなくて、長く茹でてうどんみたいに柔らかくなったものが普通でしたネ。

だから少し硬めのアルデンテでお出しすると、「これは生だ」って言われたり、「失敗した料理を食わせるんじゃない」って随分怒られたなァ。

だけど、それを僕たちが説明すると言い訳になる。

あそこのスパゲティは芯があるって噂が立って、いつもランチは20人、夜は10人とかネ。

もう本当に胃が痛かったですョ。

         

桂オーナーにも、「お客様に怒られますから、しっかり茹でていいですか?」 って何度も言うんだけど、「ダメだょ、それが向こうの国の文化だろう」って取り合ってくれない。

分からない人だなって、あの時は思ったネ。

だけどある時、お客様が呼んでいるっていうから、また怒られるのかなって思って行ったら、イタリア人でね。

日本人の僕がシェフをやっていることに驚いて、「どこの店にいたんだ?」っておっしゃるんで、修行したお店の話をいろいろしているうちに仲良しになったんです。


実はその人がイタリア政府環境局々長のフランチェスコ・ランドウッツィさんだったんです。

「良いものを出しているのに、客が来ないのはおかしい。」

とおっしゃって、知り合いのイタリア人や日本人をたくさん連れてきてくださるようになりました。

面白いもので、それまで芯があるって散々怒っていた日本のお客様も、イタリア人が言うと納得するんですネ。

その方が今度は別の日本人を連れてこられて、「芯があるのが本物なんだよ」 と得意顔で説明してくださる。

おかげ様で、お店は予約ができないくらい大ブレークしたんですョ。

あの時、ランドウッツィさんが来てくださったのは本当にありがたかったし、何と言っても桂オーナーの信念を曲げない姿勢には教えられました。

          ◆     ◆     ◆     ◆


なるほど、最初からアルデンテが日本人に受け入れられたわけではなかったんですネ。

スパゲティにも信念にも、芯がなければダメなようです。笑2

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