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情 報

〝情報を制する者は、世界を制す〟という言葉があります。

現在はネットを通して世界中の情報が瞬時に手に入るようになりましたが、PCが普及していない20世紀までは、その情報を操る最先端は通信社だったといえましょう。


今日は、その通信社の中でも大手としてかつて世界の情報を集めていたロイター通信社の創業者、

    ポール・ロイター

 Paul Julius Baron von Reuter

の命日にあたります。

        


名前から推測できるように、彼はドイツ人。
1816年にカッセルでユダヤ教司祭の息子として生まれました。

しかし30歳になる直前にロンドンに引っ越した彼は、キリスト教に改宗。

結婚後1848年にパリに出た彼は、ユダヤ人アヴァスが1835年に創業した世界最古の通信社・アヴァス通信社(※AFP通信社の前身)に通訳として就職。

同社はそれまで馬車便や飛脚便が一般的だった情報伝達手段を、1840年から伝書鳩を使うことで大幅なスピード・アップを実現し、大きく業績を伸ばします。


ここで通信社の業務を学び儲かることを知った彼は半年も経たない内に同社を辞め、同様に伝書鳩を使った通信事業をアーヘンで行った後、1851年にロンドンに戻ってロイター通信社を創立。

以前知り合った著名な物理学者・数学者のガウスの実験を通して、将来の情報伝達は電信が主流になる・・・・そう確信していたロイターは、ちょうど同時期ドーバー海峡に敷設された英仏間の海底ケーブルを使った電報(電信)通信をいち早く導入したのです。

ロンドンとパリの株式市況を格段に早く配信できるようになったことで、事業は急成長。

1870年にはかつての勤務先・アヴァス社と、やはりロイターと同じくアヴァス社から独立したヴォルフが設立しドイツに拠点を持つヴォルフ社と協定を結び、(AP通信が支配するアメリカを除く)世界の情報を支配する三大通信社として君臨しました。

第一次大戦後、ドイツの政府首脳が 「ドイツはイギリス軍には負けなかったが、ロイター社には完敗した」 とぼやいたそうですから、如何にいち早く正確な情報を握ったロイター社が連合軍の勝利に貢献したかが分かります。


      

      『ニュースの商人 ロイター』 (倉田保雄・著 朝日文庫・刊)

三社協定を結んだ翌年にイギリスから男爵の称号を受けたロイターが82歳で天に召されたのは、1899年2月25日・・・20世紀に入る直前のことでした。

その後ロイター社はいち早く日本にも社員を派遣し、外信を欲する日本の新聞社と次々に契約を交わし、アジアは同社のドル箱エリアに。

昭和時代の新聞に、よく〝ロイター発〟という記事が掲載されたのは、そのため。

しかし生き馬の目を抜く通信業界の流れは早く、同社も2007年にはカナダの情報サービス大手のトムソン社に買収されました。

現在は辛うじて 『トムソン・ロイター』 と社名にその名残がありますが、今後はどうなるのか?・・・きっとロイター男爵は、いつまで自分の名前が残っていられるかドキドキしながら下界を眺めているのかも。

ところで、上記でご紹介した本の冒頭に、こんなくだりがありました。

『エルバ島に流されたナポレオンが、1815年2月再び栄光の座を奪還しようとして脱出した時、高をくくっていたパリの新聞は、そのニュースを〝怪物、流刑地を脱出〟という見出しで報じた。

そして、かつての皇帝を〝コルシカ生まれの怪物〟とか〝食人鬼〟などと、嘲笑の限りを尽くした。

それが僅か数ヶ月の内に、ナポレオンがいよいよパリに近づくや、〝皇帝、あす忠誠なるパリ市にご帰還あそばさる
〟と、打って変わった変身ぶりを見せたのである。

これは当時のジャーナリズムがいかに場当たり的で権力に弱く、かつ迅速正確な情報を欠いていたかを物語るものだろう。』

・・・いえいえ、21世紀のマスメディアも同じですょ、ロイターさん。うー



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