FC2ブログ
地 価

皆さんは、 『鳩居堂』 というお店をご存知ですょネ。

何を売っているかを、また本店が京都にあることを知らずとも、銀座5丁目にある東京鳩居堂の前の歩道は、国税庁が発表する路線価が常時日本一高いことで毎年ニュースになりますから・・・。


この鳩居堂のルーツは、源平合戦の時代に遡ります。

源氏の武将・熊谷直実(なおざね)は平敦盛を討つなど軍功を上げ、源頼朝から〝向かい鳩〟の家紋を賜りましたが、後に出家して法然の弟子となりました。

その直実から数えて20代目の子孫と称する直心(じきしん)が、江戸時代の1663(寛文3)年に薬種商として店を開いたのが 『鳩居堂』。

店名は、家紋が向かい鳩であることもあり、儒学者・室鳩巣(むろきゅうそう)が中国最古の詩集とされる 『詩経』 の一節・〝維鵲有巣 維鳩居之(これかささぎのすあり、これはとこれにおる)〟から取って命名したと言われています。


戦前・戦中は宮内庁御用達で1942年には法人化した同社では、書画用品やお香などの販売をしており、店内に入ると何とも言えぬ良い香りが漂っています。


さて、なぜ今日この鳩居堂を取り上げたかというと・・・今から30年前の今日・1986年1月24日に、同社に絡む世間を驚かせる出来事があったから。

当時11代目社長を務めていた熊谷道一氏が、弊社事務所近くの高島平団地で飛び降り自殺をしたのです。


        


銀座5丁目の角地に建つ茶筒のような円筒形で有名な三菱ドリームセンターに隣接する東京鳩居堂の銀座本店が現在のビル()に建て替えられたのは1982(昭和57)年。

その4年後の1986年から現在に至るまで、国税庁発表の全国路線価で連続1位をキープしているのが、ビル入り口前の土地。

バブル末期の1992年には、1㎡の価格が3,650万円という最高値をつけました。

この頃、鳩居堂ビル前の石畳にハガキを置いて、「このサイズで約50万円!」 とかいうニュースをテレビで観た記憶があります。

報道によって、すっかりその名が全国的に有名になった同社でしたが、社長個人にとってはあまり嬉しい事ではなかったのかもしれません。

もともと道一氏は、東芝に入社後一時期日本原子力研究所に出向していたという、エンジニア。

ところが先代が亡くなったため急遽呼び戻されて社長に就任。

第三者からは既定路線というか華麗なる転身に見えますが、ご本人の意には反していたはず。

慣れない会社経営に加えて、遺産相続問題に相当苦しんでいたようです。

持つ人の悩みには、私のような持たざる者には分かり得ない深刻さがあるのでしょうネ。

彼が高島平団地で投身自殺をしたのは、国税庁が路線価を発表した僅か3日後・・・身に着けていた手帳には、税金対策のメモがびっしりと書かれていたそうな。うー

その後もジリジリと値を上げていきましたが、最高値を付けた1992年以降は急落。

1997年には現在までの最安値・1㎡当たり1,137万円まで値が下がりました。

その後再び値を上げ、現在では2,700万円近くまで戻していますが・・・道一氏にとっては、最悪のタイミングで先代が亡くなってしまったようです。

バブル景気は日本の経済だけでなく、人間の運命をも狂わせたと言えましょう。


時々銀座を訪れて鳩居堂の前を通り過ぎるたびに、思わず地面を見つめてしまう私です。



スポンサーサイト



コメント
コメント
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2018/08/11(土) 21:16:44 | | # [ 編集 ]
◇たけむらさん
コメントありがとうございます。
そうですか・・・直接熊谷氏と面識がおありだったのなら、その真相は猶更知りたいですョネ。
熊谷さんは本当に誠実かつ真面目な方だったんだと思います。
だからこそ、投げだしたり逃げたりできなかったのでしょう。
そういう方にとって、あまりにタイミングが悪い社長就任だった・・・としか、言いようがありません。
2018/08/12(日) 04:42:29 | URL | ナベちゃん #- [ 編集 ]
コメントの投稿
URL:
本文:
パスワード:
非公開コメント: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
トラックバック URL
トラックバック