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三冠王

・・・といっても、プロ野球の話ではありません。

登山家の憧れといえば、やはり世界最高峰のエベレスト登頂だと思います。

日本で最も有名な登山家といえば植村直巳さんであり、彼が1970年に松浦輝夫さんと共に日本人として初めてエベレスト登頂に成功したことは、皆さんもご存知でしょう。

通常エベレストの頂上アタックは最も気候が穏やかな春がシーズンであり、植村さんや80歳で登頂し話題となった三浦雄一郎さんをはじめ、過去20年間に登頂に成功した日本人は全て5月に登頂しています。

しかし、人間を拒絶するかのような8,848mの山頂に、世界で初めてネパール・チベット両ルートから登頂したぱかりか、春・秋そして最も過酷な冬と3度も登頂に成功という、これまた世界初の〝エベレスト三冠王〟という偉業を達成した日本人がいるのです。


その登山家の名は、

 加藤 保男 さん

今日は、この世界登山史上に名を残した彼の命日にあたります。


          


加藤さんは、1949年に埼玉県・大宮市(現・さいたま市)に生まれました。

弊社事務所のすぐそばにある大東文化大学第一高等学校在学中から、登山家だった実兄の滝男さんの影響で登山を始めた彼は、日本大学文理学部に進学しても大学の登山部には所属せず、滝男さんが主宰し、女性として世界で初めてアルプス三大北壁登攀に成功した今井通子さんも所属するジャパン・エキスパート・クライマーズ・クラブ(JECO)で腕を磨きます。


そして1969~72年にアルプスの3大北壁(アイガー、グランド・ジョラス、マッターホルン)を立て続けに制覇すると、翌73年10月にはネパール側・東南稜からエベレスト初登頂に成功。

しかし強行スケジュールでの登頂だったため山頂付近でのビバークを余儀なくされ、奇跡的に救出されたものの両足の指全てと右手の指3本を凍傷で失ってしまいます。

(足の指の切断といっても、28cmあった足のサイズが10~11cmになるほど根元からの切断。

しかもも彼は全身麻酔をかけるという医師の意見を拒否し、部分麻酔で自分の足が切られるところを 「ちくしょう、エベレストめ!」 と呟きながら自分の目で確かめ、2時間の手術耐えたとか。驚き顔

山男の執念、恐るべし。)


これだけの肉体的な致命傷を負えば、普通は登山家の道を断念しそうなものですが、この天才クライマーは違いました。

1980(昭和55)年5月には、チベット側の北東稜から2度目のエベレスト登頂に成功すると、翌年10月には、尾崎隆さんらと共にマナスルに無酸素登頂に成功。

ハンデを負ってレベルを下げるどころか、ますます困難な状況下での登山に挑戦し続けたのです。

そして1982(昭和57)年12月27日、不可能とも思える厳冬期のエベレストに東南稜から世界初の登頂に成功し、遂に三冠王を達成!

3回の挑戦で3回とも成功という成功率100%のおまけつきで。

しかし、これまで彼を見守ってくれていたはずの山の神様は、非情にもここで彼を見放してしまいました。


同日下山中に悪天候に遭遇した加藤さんは、やむなく同行した小林利明さんとビバーク・・・そのまま消息を絶ってしまったのです。

直前の交信では冷静な受け答えをしていたので、酸素不足で錯乱状態になったわけではないそうですから、おそらく猛烈な突風に吹き飛ばされたのでしょう。


彼が33年という短い人生を捧げた登山がいかに過酷なものだったのかを、この著書で知ることができます。

 『エベレストに死す』 (長尾 三郎・著 講談社文庫・刊)

        


現在、人類で初めてエベレストに登頂したのは、1953年・・・ニュージーランドの登山家エドモンド・ヒラリー卿とシェルパのテンジンとされています。

しかしそれ以前の1924年に頂上アタックを行い消息を絶ったジョージ・マロリーが登頂に成功したかどうか、が現在でも議論になっています。

※マロリーに関する過去記事は、こちら。(

 http://ameblo.jp/warmheart2003/entry-10825806036.html

そのマロリーが生前、「なぜ、あなたはエベレストに登りたいのか?」 と問われて


「そこに山(エベレスト)があるからだ。」 

   Because it's there


と答えたという逸話は有名ですが・・・もし加藤さんに同じ質問をぶつけたら、どう答えたのでしょうネ?


身長180cmと大柄ながら、山男なのに酒よりもスイーツを愛し、手足の指を失いながらもエベレストに3回、そして8,000m級の山に4度も登頂に成功した日本有数・・・というより世界的登山家のご冥福をお祈り致します。

その不屈のチャレンジ精神に敬意を表しつつ・・・。笑3


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