FC2ブログ
生き金 <上>


今日・12月16日は、私が最も尊敬する政治家・田中角栄氏の命日。

1993年に75歳で亡くなられていますから、今年は二十三回忌にあたります。

金権政治の権化の如くマスコミに叩かれた田中氏ですが、私が尊敬するのはその集金力よりもむしろ金の使い方、すなわち〝お金の生かし方〟の名人だったから。

その一端を示すエピソードを、以下にご紹介します。

          ◆     ◆     ◆     ◆

1969(昭和44)年12月2日に衆議院が解散されて間もなくの頃、私(早坂茂三秘書)は田中に呼ばれ、自民党本部4階の幹事長室に行った。

聞けば、オヤジは隣の副総裁室にいるという。 
行ってドアを開けようとしたが、鍵がかかっていて開かない。

2、3回ノックして 「早坂です」 と大声を出すと、「オ~ッ」 と言って鍵を開けたのは田中本人である。

私を部屋に招き入れると、また鍵をかけた。

そこで私が見たのは、丸いテーブルの上に山と積まれた白封筒であった。
中身が何であるかは、書くまでもない。
私は初めて見る光景に、息をのんだ。


          

封筒詰めの作業が一段落すると、田中幹事長はオシボリで額の汗を拭きつつ、私を自分の前に座らせた。

「これは公認候補者に届ける選挙資金だ。 
他の連中も飛ばすが、お前にもやってもらう。

選挙区は、知っての通り130ある。 トンボ帰りや2.3泊の繰り返しだ。
お前にもすぐ行ってもらう。 これが航空券だ。 
カネは失くしたでは済まない。
 注意しろ。」

一気に喋った角栄は、でかい鞄を持ってきて、私の横にドンと置いた。

届け先を説明した後、リストを入れた封筒も寄こした。

「世の中に悪党は、それほどいない。 悪党はだいたい、オレの周りに集まっている。」

彼は微かに笑った。

「お前がこれから会う相手は、大半が善人だ。 こういう連中が一番つらい、切ない気持ちになるのは、他人から金を借りる時だ。 それから、金を受け取る、もらい時だ。」


そう言ってから、彼の眼がキラリ、と光った。

「だから、この金は心して渡せ。 ほら、くれてやる。 ポン。 なんていう気持ちが、お前に露かけらほどあれば、相手もすぐ分かる。

それでは百万円の金を渡しても、一銭の値打ちもない。
届けるお前が土下座しろ。

まぁそれくらいの気持ちでやれということだ。 分かったな。」

頷く私に、親方は続けた。

「これから渡す時の口上を教える。

選挙資金は潤沢だと思いますが・・・そんな奴はいないが、せめてもの礼儀だ。 枕言葉だ。 まず、そう切り出せ。

そして潤沢だと思いますが、曲げてお納め願いたい。 
他は知らず、あなただけは生爪をはがしても当選していただきたい。
党のため、国家のためである。 

不足の場合、電話一本いただければ、直ちに追加分を持って参上する。
以上、あるじ田中角栄の口上である。 お前、そう言え。」


「オヤジさん、そう言えばどうなるんですか?」

「そうか、角サンがそこまで心配してくれているのか。 それじゃあ、まぁ、間に合っているが、納めてやる。 

と言いつつ、お前がいなくなった後、包みをすぐに破って中身を3回は勘定し直すんだ。」

そう言って、角栄は笑った。

          ◆     ◆     ◆     ◆

〝白封筒〟の受け渡し場面、目に浮かぶようです。

金を生かすためには、細心の注意が必要・・・しかし角さんの気配りは、100万円単位の大金だけではありませんでした。

                   ・・・・・To be continued!




スポンサーサイト



コメント
コメント
コメントの投稿
URL:
本文:
パスワード:
非公開コメント: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
トラックバック URL
トラックバック