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習 慣

我が愛読誌・月刊『致知』7月号に掲載された、JFEホールディングス名誉顧問・數土(すど)文夫氏の巻頭エッセーに共感すること多々あり、以下に一部編集にてご紹介致します。

           ◆     ◆     ◆     ◆

21世紀に入り、世界には金融危機・自然災害・貿易戦争・技術革新など、多種多様な問題が続出しています。

そんな中、武漢肺炎が世界的に流行し、厳しさは増すばかりです。

私は収束・回復までに数年を要すると見ていますが、企業は規模の大小を問わず、いつ潰れるか分からないと覚悟してかからなくてはなりません。

古来、国家や企業をはじめとするあらゆる組織にとって、リスク管理と危機管理はその存続に関わる重大事でした。

〝リスク〟と〝危機〟は同じ意味だと思われている方が多いかもしれませんが、異なっています。

〝リスク〟は近い将来起こり得る危険や異常事態のことで、〝危機〟は現実に発生してしまった危険や異常事態のこと。

共に管理と言っているのは、具体的には対処法であり実践そのものだからです。

そこには大きな負担や犠牲を伴いますし、取捨選択のスピードこそ肝腎。

碩学・安岡正篤氏の 『六中観』 に 「死中活有り」 とあるように、トップは己を捨てて初めて果敢な決断ができるのです。

こういう非常時には特に、先人の多様な事例を学んでいるかどうかが、成否の分かれ目になるでしょう。

何かにつけて 「想定外だ」 と言う人は、「自分は歴史を学んでいない」 と告白しているようなものです。

       

18歳で鎌倉幕府の執権となり、蒙古襲来の危機から日本を救った北条時宗は南宋の禅僧・無学祖元に教えを乞い、同様に17歳で米沢藩主となり困窮していた藩の財政再建を成し遂げた上杉鷹山は儒学者・細井平洲に師事し、共に十代の時に漢籍の素養と実践の基礎・重みを修得しました。

徳川家康にしても幼少の頃に禅僧・太原雪斎の感化を受けています。


家康に比して織田信長や豊臣秀吉がその晩年リスク管理と危機管理に欠けていたのは、師と呼べる人物に恵まれなかったこと、更には 『貞観政要』(※唐代に兢が編纂したとされる太宗の言行録)などを読んでいなかったことに因(よ)るでしょう。


十代までの学び、特に古典を中心にした読書が、思索や精神修養を深める上で重要な役割を果たしていたことが伺えます。

ちょうど百年前、世界はスペイン風邪に席巻され、全体で感染者5~6億人、死者2~5千万人を記録しました。

日本でも感染者数約2千3百万人、死者約38万人といわれています。

各国はその時の体験を今回のリスク管理・危機管理に十分生かすことが出来なかった、と言わざるを得ません。

新聞報道によれば、武漢肺炎感染拡大の影響で休園・休校となった幼児から中学生までの保護者を対象に、ある大学院の准教授か子供の1日の過ごし方について調査したところ、増えた時間は

  テレビ・ビデオ視聴  80%
  インターネット動画視聴  62%
  ゲーム機器利用  52%

で、読書の項目はありませんでした。

また全国大学生活協同組合連合会の最新調査では、1日の読書時間がゼロと答えた大学生は48%と報告されています。

エズラ・ボーゲルは1979年、日本の高度経済成長の要因を分析した著書 『ジャパン・アズ・ナンバーワン』 の中で、

「日本の成長基盤をなすものは、その高い学習意欲と読書習慣である」

と述べ、一国の経済的隆盛の主因をその国民の学習意欲と読書習慣にあると喝破・・・凄まじい見識だと思います。

国や企業の存亡に関わるリスク管理と危機管理には、健全な国家観・歴史観・倫理観が重要です。

それまで読書を殆どしてこなかった人が、組織の要職に就いたからといって、急に国家観・歴史観・倫理観が涌き出てくるはずがありません。

『論語』 に次の章句があります。

「人にして遠き慮無ければ 必ず近き憂有り」
(目先のことに因われず、先の先まで思いを巡らせていない者には、必ず近いうちに思いかけない難事が起こるものだ)

幼少時の読書習慣こそ、遠き慮りの原点だと思います。

人生百年時代になればなるほど、エボラ・ボーゲルと孔子の言葉はその重みを増してくるのです。

日本の将来のために、外出自粛の今こそ子供に読書習慣を身につけさせる。

それにはまず親自身が読書を楽しむ姿を背中で示すことが遠き慮りではないでしょうか。


           ◆     ◆     ◆     ◆

〝賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ〟
〝鉄は熱いうちに打て〟
〝親の背を見て子は育つ〟

先人の言葉には、素直に耳を傾けるべきですネ。


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