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公私混同

現在はコンビニやスーパーの後塵を拝していますが、20世紀後半における小売の王者といえは、百貨店でした。

その業界に於いて、最もその名を知られた社長・・・といえば、私はこの方の名を思い浮かべます。

 岡 田 茂 


今日は良くも悪くもその名を百貨店業界、いや日本の経済界に残したこの元・三越社長の命日・・・早いもので没後20年が経ちました。


        


岡田氏は1914(大正3)年の京都生まれ。

慶應義塾大学文学部を卒業した1938(昭和13)年に三越に入社。

宣伝部長を経て銀座店々長に就任すると売れ上げを伸ばして当時の松田伊三雄社長に目をかけられます。

虎の威を借る狐・・・ではないですが、千万単位でカラ伝票を切って警察に拘留されるなど銀座店長時代から目立ったという岡田氏の公私混同ぶりは、松田氏の後任として社長に就任すると一層激しくなったとか。


自分に盾つく社員を悉く〝粛清〟し、周囲にイエスマンだけを配置。

ワンマン体制を築くと、やりたい放題。

宣伝部長時代に知り合った竹久みちを愛人にし、彼女が設立した輸入代理店 『オリエント交易』 を通して不正取引を行ったのです。


危機感を強めた社員や三井グループの重鎮たちが結束して〝岡田降ろし〟を密かに画策。

『古代ペルシャ秘宝展』 の展示物が殆どニセモノであることが発覚した約1ヶ月後の1982(昭和57)年9月22日の取締役会で、腹心の杉田専務から突然解任動議が出され、満場一致の16対0で社長解任が決議されたのです。


この時、岡田氏が発した 「なぜだ!?」 は当時流行語になりました。

残念ながら毎年末に話題になる流行語大賞が創設されたのは1984年・・・あと2年早ければ、初代の大賞受賞は確実だったでしょうネ。


この劇的な展開は、コミック 『課長 島耕作』 にほぼ同様の設定場面があり、私は三越事件をダブらせては何度も読み返したものです


この事件(?)が起きたのは、私がちょうど社会人になって間もない頃・・・社長の地位は絶対的なものではなく、合法的に剥奪される可能性があることを学びました。

三越OBの中には、岡田氏の経営手腕を高く評価する方もいらっしゃるようですが、

『徳盛んな者には位を与へ、功盛んな者には賞を与ふ。』

という西郷隆盛の遺訓の正しさをまざまざと示した〝反例〟と申せましょう。

この解任劇に至る岡田一派と反体制派の行き詰る暗闘について知りたい方には、この本がオススメです。

 『十三人のユダ―三越・男たちの野望と崩壊

                (大下英治・著 新潮社・刊)


      

今でもどこの会社でも、大なり小なりありそうな社内抗争・・・サラリーマンの方は、
読んでいる内に胸が苦しくなるかもしれません。

奢れる者は久しからず。 勝者は一転敗者に。 天国から地獄へ。


解任後しばらくして岡田・竹久両名は相次いで特別背任の容疑で逮捕され、岡田氏は有罪判決を受けた後上告係争中だった1995年7月20日に80歳でこの世を去りました。 

彼が銀座店長時代、1階に日本初のハンバーガーショップ・マクドナルド1号店を出店させたのが1971年7月20日。

この記念すべき日が命日となったのは、単なる偶然だったのでしょうか?


いかな大企業といえども、トップ一人の舵取りを間違えればその巨体も簡単に傾くことをまざまざと見せつけた騒動でしたが、かつてのライバル・伊勢丹と手を組んだ現在の三越を見て、岡田社長は草葉の陰でこう呟いているのかも・・・。


 「なぜだ!?」 うー




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