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ド ン

本来はスペイン語圏(Don )およびポルトガル語圏(Dom )で使われる、高貴な人・高位の聖職者に対する尊称なのですが、我が国では(影の)権力者・超大物という意味で使われる、〝ドン〟。

この言葉に相応しい日本人は誰? そう問われたら、皆さんは誰を思い浮かべるでしょうか? 


私なら、即

 笹川 良一


の名が出てきますが・・・今日・7月18日は、この元・衆議院議員、というより 「世界は一家、人類はみな兄弟」・「一日一善」 のテレビCMでお馴染みだった元・(財)日本船舶協会会長の命日・没後20周年にあたります。

       

笹川氏は1899年に大阪府三島郡豊川村(現・大阪府箕面市)に造り酒屋の長男として生まれました。

尋常高等小学校時代の同級生に川端康成氏がいたことは有名ですが、卒業後は戦闘機乗りを志して陸軍に入隊しましたが、1925(大正14)年に豊川村の村会議員に当選して政界入り。


一方で芸能事務所を経営したり株式相場に手を出すなどして財産を築くと、飛行機や飛行場を軍に献納してコネを作る一方、1931(昭和6)年に右翼団体・国粋大衆党を結成し総裁に就任。

その時の部下に、後にフィクサーと言われた児玉義郎誉士夫氏がいます。


そして1942(昭和17)年に衆院選に立候補し当選。 


戦後A級戦犯として逮捕・拘留されましたが、この時の選挙で東條内閣の政策に反対していたこともあり釈放され、その後は右翼的な政治活動を再開。

一方で、巣鴨プリズン収監中に雑誌で見たモーターボートの写真に興味を持ったのがキッカケで、1949年からモーターボート競争法制定に向けて活動を開始。

1952(昭和27)年に(社)全国モーチーボート競走会連合会の設立に携わり、3年後に会長に就任すると、一時赤字続きで廃止論が出た同事業に私財を投じて存続させました。

更に1962(昭和37)年に日本船舶振興会(現・日本財団)を設立すると、冒頭にご紹介したTVCMを1976~94年までの長期にわたり流し続け、一般的に名を知られるように。


そして1995(平成7)年7月18日に急性心不全で死去。

96歳の大往生でした。

さて、この笹川氏については〝右翼の大物〟というコワモテのイメージばかりがマスコミを通じて吹聴され、あのテレビCMはその悪いイメージを払拭するため・・・と思われがちだったのではないでしょうか?

かくいう私も、その一人だったのですが・・・数年前に、一冊の本を読んでそのイメージは大きく変わりました。 それが、


 『悪名の棺』 (工藤美代子・著、幻冬舎・刊)


     ウォームハート 葬儀屋ナベちゃんの徒然草-笹川良一


面白いことに、著者・工藤美代子氏も笹川良一氏に関しては周辺から恐ろしげな人物評しか聞いていなかったそうで、あらためて彼の人物像を知りたいという動機で調べ始めたとのこと。


先入観なく、客観的な視点・資料をもとに彼の足跡を辿った文章は、淡々としつつも説得力があります。


確かに広域暴力団組長との交流を隠さず近寄りがたい雰囲気のある人物でしたが、一方で他人には真似のできない篤志家であったことが解き明かされていきます。


外では派手に金を使うのに、家の中でのケチケチぶりには思わず笑ってしまいましたが、その一方で同級生・川端氏の墓守りをずっと続けるなど、非常に義に篤い人物だったことも伺えます。


(間接的ながら、彼が巣鴨プリズンに収監されていた時の逸話は、某有名新聞社々主・S氏の振る舞いなど階級を捨て去られプライドを踏みにじられた人間の本性が描かれていて、興味深いものがありました。

また彼を批判し続けた元日教組・総評議長であった槙枝氏が、資金繰りに困って笹川氏から借金していたという事実にも呆れたり・・・。)


これ以上具体的な中身をご紹介することは差し控えますが巷間伝えられてきた評伝と事実にはかなりのギャップがあり、あらためてマスコミ報道のいい加減さを認識させられました。


そして笹川氏が何故あのテレビCMを流し続けたのか、その疑問も氷解。


映画 『ゴッドファーザーⅠ・Ⅱ』 の主役、ヴィト・コルレオーネそのもの・・・というのが、読み終えた時の第一感でした。


その先見性・胆力・型破りな行動力は、まさに、〝日本のドン〟。


笹川氏の業績に関しては様々な見方があるでしょうが、私は笹川氏のような〝義侠心のある大物〟こそ、現代に必要とされる〝人財〟なのではないか、と痛感した次第。


モーターボート事業などを通じて巨万の富を築いたように思われがちですが、

「金は残さない、陰徳は残す。」

と自ら語った通り、税務上は遺族に実質負債が残された一方、笹川家には(公表されていないものの)戦後救済・援助した戦犯家族からの膨大な礼状が届いていたといいます。


〝伝説的人物〟の実像に迫るこのノンフィクションをお勧めすると同時に、あらためて〝日本のドン〟のご冥福を、お祈り致します。笑3




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