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危機管理 <下>

一方で、被災地で素早く行動を起こしたリーダーもいた。

それは、当時日本銀行神戸支店長だった、遠藤勝裕氏。

ジェット機が落ちたかと思うくらいの轟音と激震に遭遇した直後、彼は自分がこの大災害に際して何をすべきかを考え、


「そうだ、俺の役割は町に紙幣を出すことだ。」


と思い至ったという


日銀・神戸支店は設備の損傷があったものの、幸いにも大金庫は無事。

すると遠藤支店長は、それを(独断で)開けてしまう。

通常緊急時には閉める大切な金庫を逆に開け、そしてそこにあった札束を全部取り出して紙幣の流通を止めなかったのだ。

ご本人曰く、「兵庫県一日分の金額が入っていた」 そうだから、おそらく何十億円も。


そして次は被災地の民間銀行の損壊状況を点検。

すると日銀以外にひとつだけ壊れていない銀行があった。

それを知った彼は、3日後に日銀神戸支店内とその銀行に被災して休業中だった各銀行の

臨時窓口を開設すると同時に、兵庫県警本部に警備を要請。

普通なら各支店に配置しなくてはいけない1~200人の警察官が2ヶ所で済むわけだから、

随分助かった・・・と後に本部長は語ったという。

         
 
                遠藤 勝裕 氏


もっと凄いのは、震災当日のうちに 『金融特例措置』 という5ヶ条の布告を独自の判断で出したこと。

例えば通帳やハンコがなくても身分証や免許証を提示したらお金が借りられる。 また半焼けの紙幣は普通の紙幣と交換するといったもの。


もちろんこれらは日銀本店や大蔵省本省がすぐに承認するわけがありません。


ところが大蔵省の神戸財務事務所長がまた傑物で、これを決裁。 

このルールでどんどんお金を出したのだ。


また遠藤支店長が震災後の市内を視察すると、コインを持たない被災者が自動販売機を蹴っている様子を目撃。


「そうか、物があってもお金がないと暴動が起こるな・・・。」

そう感じた彼は銀行協会に申し入れて、百円玉9枚と十円玉10枚を入れた千円の袋を4,000袋作り、避難所に行って 「銀行協会からの義援金でございます」 と渡して歩いたという

 
遠藤支店長は、本来クビだったはず。

何故なら日銀のあらゆる掟を破ったのだから。

聞けば、彼は被災地域を救済するために過去何度かこのような超法規行為をやっていた〝札付き〟の支店長だったらしい。

日銀内部は 「とんでもない日銀マンだ」、「いや、これこそ日銀の鑑」 という二つの意見に分かれたという。 

「彼のような功労者をクビにするなんてとんでもない。 本店に栄転させなさい。」

と佐々氏は強く進言したという。


それが功を奏したのかどうか、遠藤氏はクビにならず調査役になった。

          ◆     ◆     ◆     ◆

この対談の中で、渡部氏はこう発言しています。

「多くの場合、戦争でも立派なのは兵隊や下士官、たたき上げの隊長。


彼等は上の方から命令を受けても、犬死だと分かれば握りつぶす判断力・力量を持ち合わせていた。

これに対して官僚的に動く(リーダーが指揮した)部隊はダメ。 
全滅している。」


行政トップにはどういう人材を選ぶべきか、我々有権者は注意深く考える必要があります。

特に有事の際、誰が頼りになるのかを念頭に置いて。

総理大臣や首長は誰がやっても同じ・・・でないことは、東日本大震災を含め歴史が証明しているのですから。うー


       
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