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小 言


先代(5代目)三遊亭圓楽師匠は、東京・浅草の易行院というお寺の子に生まれました。

父親が区会議員をしていた関係で、お寺には毎日たくさんの人が出入りしていたそうで、小さかった頃の圓楽師匠は、誰が父親だか分からなかったそうな。

しかしある時、おてるさんという女中さんがお給仕をしてくれたご飯をそのまま食べようとしたら、師匠の手をピシャッとおじさんにぶたれたんだそうです。

その瞬間、「あっ、この人が親父なんだ。」 って分かったんですって。
なぜなら、居候がその家の子をぶつはずがありませんから。

で、その親父さんに師匠はこう言われたそうです。

「今、お前はご飯をよそってもらったが、これはお前が炊いたのか?」

「おてるさんが炊きました。」

「じゃあ、このお米はお前が作ったのか?」

「違います。」


「じゃあ、お前は何もしないで飯を食ってるのか?」

「そうです。」

「だったらお前はなぜ、食べる時に 『いただきます』 と言わないんだ。

いいか、米というのはね、お前がまだあったことのないような人たちが手塩にかけて作っているんだ。

八十八と書いて〝米〟というくらい、米はいうのは八十八回もの手間をかけないと出来ないんだ。

そんなことも知らないで、ただ座して、礼も言わずに食べるとは何事だ!」

圓楽師匠は、このことを鮮明に憶えていたそうです。


         

またある時、本好きだった師匠が本屋で立ち読みをしている時、鏑木さんというおじさんがパシッと師匠をぶったんだそうな。

「おじさん、何でぶつんだョ。」

「何でじゃないよ。 お前、俺のこと知ってるんだろ?」

「ええ、鏑木のおじさんです。」

そしたら、そのまま行っちゃったんだそうな。

ところがその後、親父さんから小言が。

「お前、今朝、鏑木のおじさんにぶたれただろ?」

「ええ」

「お前ね、こういうことは覚えておきなさい。

知っている人に会ったら、必ず 『おはようございます』 とか 『こんにちは』 ってちゃんと挨拶するんだョ。

鏑木さんは、黙って通り過ぎることも出来たけど、お前に憎まれても構わないからちゃんとそのことを教えておこうと思って、ピシャっとぶったんだ。

それは、お前の将来に役立つことなんだ。
だから、ちゃんと鏑木さんにお礼を言いなさい。」


圓楽師匠のお父さんや鏑木さんのようになりたい・・・と思いつつ、『父の日』の今日を過ごしたいと思います。






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