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帝 王 <下>

今日は、昨日没後30周年ということで取り上げたクラシック音楽界の〝帝王〟・カラヤンに関する知られざるエピソードを、皆さんにご紹介致します。


          ◆     ◆     ◆     ◆


どのオーケストラも初めての指揮者が来ると、そいつがどのくらい力量のあるヤツか、どんな性格のヤツかを試そうとする。

楽員の誰かが、わざと間違えるイタズラを仕掛けるのだ。

その時、指揮者がそのパートをチラッと見てニヤッと笑えば、それで暗黙のうちにオケ全体との信頼関係が成立する。

カラヤンが初めてベルリン・フィルを指揮し、ベートーヴェンの交響曲第5番 『運命』 を演奏した、29歳の時のこと。

彼はどこかで何かを言おうとしたものの、オーケストラのあまりの上手さに文句をつけることが出来ぬまま、曲は最終の第4楽章へ。 


そこで彼は仕方なく、出まかせで

「トロンボーンの二番の音程がちょっと低い。」

と言ったのだ。 これが偶然かどうか的中したそうで、

「もし外れていたら、今日の私はない。」


と、後にカラヤン自身が語ったそうな。

        


そのカラヤンは、楽員に注意する時に演奏を止めて全員の前でいきなり名指しで直接叱ることは、決してしなかったという。


たとえばホルンの第二奏者の音程が少しおかしいと思うと、彼はオーケストラを止めて全く関係のないヴァイオリンの奏者に、演奏のアドバイスをする。

そしてミスをした本人の隣にいるホルンの第一奏者を見てウィンクをするのだ。

再び同じところにきてまだ直っていないと、またそこで演奏を止めてホルンの第一奏者にもう一度ウィンク。

それでやっと気づいた第一奏者が第二奏者にそっと伝える。

回りくどいが決して人前で恥をかかせない気配り・・・これが、楽員たちから大きな尊敬を受けることにつながっていたのだ。

人の温かさを感じた時、誰しもがその人の信奉者になる。

信奉者にさせることがまた、秀でた指揮者の第一条件なのだ。


          ◆     ◆     ◆     ◆


長年ベルリン・フィルを率いることができたのは、決して彼が指揮が上手かったり権力者であったからだけではないことを物語るエピソードですょネ。

彼に若くしてその才能を認められたことで有名になり、現在もヴァイオリニストの女王として活躍しているアンネ=ゾフィー・ムターも、カラヤンを人使いの天才だったと評していますから。

 ※ムターに関する過去記事は、こちら。(↓)


帝王は一日にしてならず。

日々の絶え間ない修練と気配りの積み重ねが、カラヤンという最高の芸術品を作りあげたと言えましょうか。笑3

それでは最後に、カラヤン/ベルリン・フィルによる帝王・・・ならぬ、『英雄』をお聴きください。

           


 

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