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未 完

一昔前、自民党のポープとして山崎拓・小泉純一郎・加藤紘一の各氏が〝YKKトリオ〟と永田町界隈で持て囃された時期がありました。

結果的に首相の座を射止めたのは小泉氏だけでしたが・・・今日は、その政界でも使われるほど有名な世界的ファスナーメーカー・YKKの創業者


 吉田 忠雄 


の命日・二十七回忌にあたります。


       


吉田氏は1908(明治41)年に現在の富山県魚津市に生まれました。

父親は捕獲した鳥や動物に芸を仕込んで売るという調教師だったそうで、当然のことながら家計は苦しかったそうです。

しかしそんな環境の中で彼は父親の真似をして網で魚を獲っては売るなど幼少の頃から商才を見せ、また読書家でカーネギーの本を読み感銘を受けたとか。

高等小学校を首席で卒業したものの、兵役検査で第二種補充兵とされ身体の貧弱なことにショックを受けた彼は、1928年に上京。

同郷人が経営する古谷商店で働き始めた彼は、ここで商人の基礎を学び、頭角を現します。

そこで初めてファスナーの存在を知った彼は、26歳の時に独立してファスナーの製造販売会社・『サンエス商会』を設立。


これが後の吉田工業株式会社(YKK)の前身となります。
(※1963年に改称)


当時ファスナー製造会社は大阪に集中していましたが、彼は品質向上に拘り不良品を無くすことに傾注。

生涯の伴侶となった良子さんと結婚し、また郷里から2人の兄を呼び寄せ家内工業スタイルで業績を徐々に伸ばしていきました。


(次兄・久松氏はファスナー製造の職人となり、後に技術部門の責任者として会社を支えます。)

高品質・低価格・納品の速さを買われ、海軍100%・陸軍34%のシャアを獲得し業績を伸ばしましたが、空襲によって工場を焼失し、会社は解散。

郷里の魚津に戻った彼は、焼け残った資材を利用して再びファスナー製造を再開。

カバン業者に売り込み、やはり納品の速さと品質の良さを買われ業績は急進。 

 


1946年時点で生産高日本一のファスナーメーカーとなりました。

その翌年、アメリカの業者と知り合って機械化・大量生産の必要性を痛感した吉田氏は、通産省や日本興業銀行と掛け合って資本金の60倍もの融資を引き出して、アメリカからチェーンマシーンを購入。

更に日本精機や日立製作所とタイアップして独自の製造機械を制作し、1954年には
黒部市に25万坪の用地を購入して黒部工場を建設。

立ち上げ時は職人技で会社を成長させた吉田氏は、見事大量生産・工業化への脱皮を成功させたのです。

そして1956年には東南アジア、1960年にはアメリカに工場を建設し、いち早く海外に進出。


更に住宅建設ブームを予見した彼は、周囲の反対を押し切って1962年からアルミサッシの製造に着手。

結果的にサッシ業界でもトップメーカーになりました。


若手社員を積極的に登用しする反面、株式非公開に拘り続け、諸外国の圧力やオイルショックも乗り越えた同社のファスナー生産シェアは世界の約45%。

皆さんお手持ちの洋服やバッグにつけられているファスナーにも、こんな刻印があるのでは?

       

まさしく世界的メーカーを一代で築き上げた吉田氏は、
1986年に脳梗塞で倒れて社長の座を長男・忠裕氏に譲ると、1993年(平成5)年7月3日に84歳でこの世を去りました。


※吉田工業から現在のYKKに社名が変わったのは、その翌年の1994年でした。

これだけのカリスマ経営者ですから、その個性は強烈・・・私も損保時代、また聞きですが吉田氏のワンマンぶりは耳にしていました。

しかしこれだけの実績を一代で築くんですから、それくらい周囲を圧倒する気迫とバワーがあるのは当然でしょう。

その吉田氏の言葉を集めた書籍があります。


『仕事儲け人儲け 人間吉田忠雄語録 (大和出版・刊)


           


同書の中には、こんなエピソードが紹介されています。

「我が社は、ホップ・ジャンプに目を奪われず、ステップ・ステップを永遠に追求していく。

ジャンプしたら、そこで全てが終わる。 
〝永遠の未完〟こそ発展の原動力なのだ。

そのひとつの事例として、今24ある我が社の工場は、いずれも起工式は行っても竣工式はしていないことが挙げられる。

つまり建物が出来設備が整い生産が始まっても、それで完成ではないからだ。

当初の計画が全て終わったように見えても、その生産設備の拡充が必要であったり、より能率的な生産工程があれば、最初の計画に囚われずに取り入れ、改善をしていくからだ。」


吉田氏自身の言葉で埋められた同書を読めば、カリスマ経営者の理念や仕事術を学べる事請け合いです。

古い本ですが、興味のある方は是非ご一読ください。


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