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誘 拐

ミステリーの女王アガサ・クリスティーの代表作 『オリエント急行殺人事件』 序盤に、アメリカの大富豪の一人娘が誘拐され、身代金を支払ったにも拘わらず遺体で発見されるという誘拐事件が描かれています。

アガサ自身は認めていませんが、この場面は実際に起きた誘拐事件をモチーフにしていることは有名。

それはこの小説が発表される2年前、そして今から87年前の今日起きた


 リンドバーグ愛児誘拐事件

もちろんリンドバーグとは、初めて飛行機で単独大西洋無着陸横断に成功したチャールズ・リンドバーグのこと。

 ※リンドバーグに関する過去記事は、こちら。(↓)



彼がその快挙を達成してから5年後の1932年3月1日、1歳8ヶ月の長男チャールズ・リンドバーグ・ジュニアがニュージャージーの自宅2階から誘拐され、現場には身代金5万ドルを要求する手紙が残されていました。

    

          リンドバーグ・ジュニア                 残された手紙


警察はすぐ犯人逮捕に向け動き出しましたが、残された手掛かりは指紋が検出されなかった手紙と窓の下にあった不明瞭な足跡くらいで、捜査は難航。

一方リンドバーグは独自に仲介人を立て、犯人との交渉を模索。

そして新聞の広告欄を利用して犯人との接触に成功すると、犯人の要求通り7万ドルを用意し、それを手にした仲介人が接触。


仲介人が値切って5万ドルを渡し長男の居場所を聞き出すも、そのマサチューセッツ沖に停泊する船に長男の姿はなし。

そして事件から2ヶ月余り経った5月12日、自宅から3km余り離れた森の中でジュニアの遺体が発見されるという、最悪の結果を迎えてしまったのです。


その悲劇から2年後の1934年9月、警察が全国に向け公開していた身代金として渡した紙幣の番号が印刷された、所謂〝リンドバーグ紙幣〟がガソリンスタンドで使用され、それに気づいた店員がメモした車の登録ナンバーから、ドイツ系ユダヤ人のブルーノ・ハイウフトマンが逮捕されました。

    


身代金を要求した金釘流のぎこちない筆跡から、鑑定家は

「粗野で教養の低いドイツ人の書いたもの」

と推測しており、また身代金を墓地で手渡した仲介人の

「暗くて顔は分からなかったが、言葉にドイツ訛りがあった」

という証言に合致する人物像で過去に詐欺の前科があり、事件直後に大工の仕事を辞めており、更には自宅から1万2千ドル以上の現金と拳銃が発見されました。


裁判では終始無罪を主張したハウフトマンでしたが、判決は死刑。
1936年4月、電気椅子によって執行されました。

しかしこの判決には、現在でも冤罪説が囁かれています。

犯行に使ったとされる梯子が、大工だった彼が作ったとは思えぬ程粗末だったことや、事件当日のアリバイを立証する出勤簿が紛失していること。

また検察側が提出した証拠にも矛盾点があり、更には彼の死刑執行後にも〝リンドバーグ紙幣〟が使われていたことが判明している事等々がその論拠となっています。

       


後年、「自分がリンドバーグ・ジュニアだ」と主張するリントバーグそっくりの男性が現れたり、リンドバーグ本人が遺産相続を巡って犯行に関与したとする説も飛び出しています。

しかし
既に関係者全員が鬼籍に入っている今、その真相を解明することは殆ど不可能。

一躍国家的ヒーローになって脚光を浴びたリンドバーグでしたが、強い光が当たるほどその影は深くなるばかり・・・有名人の辛い所でしょう。

この事件の唯一の救いは、
複数州にまたがる誘拐犯行は連邦犯罪であり、自治体警察ではなく連邦捜査局(FBI)管轄と定めた〝リンドバーグ法〟が制定されたことでしょうか。


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