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松 明

”熱海〟と聞けば、多くの方は静岡県の温泉街を思い浮かべるでしょうが、実は福島県郡山市の猪苗代湖に近い場所にも、熱海という町があります。

  


ここで今からちょうど50年前に、当時戦後最悪の

 磐光ホテル火災

が起きたことをご存知の方は、いらっしゃるでしょうか。

(かく言う私は当時10歳でしたが、全く記憶にありません。)


同ホテルは、『磐梯観光株式会社』 という本社を東京・日本橋蛎殻町に置く不動産会社が、1963年に国鉄磐越西線・磐梯熱海駅近くの旅館を買収し、2年後に鉄筋コンクリート造4階建ての本館を建設して経営に乗り出したもの。

その後も新館・別館、更には演芸娯楽施設や食堂を含んだレジャー施設 『磐光パラダイス』 やホテルニュー磐光を約10億円の巨費を投じて建設。

山間部のひなびた温泉街に、客室数220・収容人員1,300人の豪華ホテルが誕生しました。

「来て見てビックリ」 をキャッチフレーズにした同ホテルの目玉は、キャバレーや温水プール・映画館・こどもの楽園などを要する 『磐光パラダイス』。

ここで行われるヌーディストクラブなどのユニークなショーが売り物で、週刊誌などで取り上げられた他テレビCMも流されたことで、それを見たさに連日首都圏から観光バスでお客がやってきたそうな。

しかし、その客集めのために行われていたショーが、結局は仇に・・・。

1969(昭和44)年2月5日夜、本来なら磐光パラダイスの3階で行われるはずのショーが、当日昼過ぎからの強風で屋根の一部が破損したため、急遽ホテル1階にある300畳敷の大広間で行われていました。

そしてそのショーの目玉は、午後9時過ぎに行われる予定だった(女性が全身に金色に塗って松明を手に踊る)金粉ショー。

おそらくそれは、1965年に公開された 『007 ゴールドフィンガー』 で全身を金色に塗られた女性が死んでいる有名なシーンをヒントにしたのでしょうが・・・そのショーでダンサーが使うベンジンを染み込ませた松明を、舞台裏での開演準備中に29歳のダンサーが不注意にもストーブのすぐそばに置いてしまったのです。

ストーブの熱で松明は発火・・・普通に考えれば消火器を使うはずですが、お客に気づかれたくなかったのか、なんとショーと同じように口で吹き消そうとしてしまいます。

それによって火の勢いは却って強まり、舞台の緞帳に引火。

ここで初めて舞台の幕を下ろして消火器を使いましたが、もう手遅れ。

舞台にいて異変に気付いた歌手が、マイクで 「火事だ!」 と叫んだからたまりません。

驚いたお客は一斉に逃げ始めて現場は大混乱。

1階での火災だから簡単に逃げられそうなものですが、煙で視界が悪く、またお土産店やゲームコーナーがあって通路が狭く入り組んでいたため、従業員の懸命な誘導にも拘われず、逃げ遅れた客が犠牲に。

 

               焼けただれたホテル全景

またこの火災は、あまりに多くの悪要素が重なっていたことでも特筆されます。

◆当日は強い低気圧の影響で大雪・強風注意報が出されており、その影響で度々館内は停電したため、その都度鳴る火災警報器を五月蠅いからといって切っていた。

◆出火当時は猛吹雪で路面が凍結していたため各地からの消防車(8台)やポンプ(42台)の現場到着が遅れ、なおかつ低温・強風で放水が飛散して火元に届かないどころか、吹き戻された水が消防隊員に当たって凍るなどまともな消火活動が出来ず。

◆ホテル館内には暖房がつけられていたため空気が乾燥しており、なおかつ使われていた新建材の可燃性が非常に強く、また有毒ガスが発生する素材だったために火の回りが早く被害を大きくした。


その他にも防火扉が設置されておらず、また防火シャッターも故障で動かなかったそうですから、実質的には燃え放題の状況。

鎮火は火災発生から9時間以上経った翌6日午前6時30分。

焼失面積は15,510㎡と、東京ドームのグラウンド面積1.2倍という広範囲に及び、当時の客数259名から死者30名(内25名はショー見物客とのこと)・負傷者35名を出す大惨事となりました。

 ※この火災に関するニュース映像を、こちらでご覧いただけます。



火災の翌日、松明をストーブのそばに置いたダンサーが重失火と重過失致死容疑で逮捕されたそうですが、実際に罪に問われたのは非常扉が開けられなかったり火災報知器が鳴らなかった等の管理責任を問われた総務課長で、禁固2年・執行猶予2年の有罪判決を受けています。

焼け落ちた同ホテルは全て取り壊され、その後新たに名古屋鉄道によって『磐梯グランドホテル』として再出発しましたが、2000年には閉鎖・解体され更地に。

しかし昨年5月に熱海町駅前市有地整備事業により複合施設 『ほっとあたみ』 が建設・オープンしています。


     


この新しい施設の利用客の内、この半世紀前の事故を知っている方は、果たしてどれ位いるのでしょうネ・・・。 うー


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