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営業は辛いょ <上>

数年前、日本郵便の社員が

「年賀状のノルマを押し付けられて、5,000枚売らなきゃいけない」

という嘆き節をネット上でつぶやき、話題になったことがありました。


「日本郵便もブラック企業だ」 などというコメントが書き込まれたようですが、その程度の自爆営業で済めばまだマシ・・・そう思った営業マンは少なくないと思います。

だって、郵便ハガキはまだ金券ショップで定価の約9割の値段で引き取ってくれますから。

私自身損保の営業マンを20年やってましたが、その間何度も自社の積立型保険に加入しましたし、その他にも様々なお付き合いの物品購入をしました。

例えば本店営業部にいた時、12月には各部署の大手メーカー担当者から依頼があって、毎年のようにクリスマスケーキ3,4個、ハム詰め合わせ3,4箱、洋酒4,5本等々を買わされ、クリスマス・イブの夜に帰社すると、それらが机の上に山と置かれていたものです。

       


当然ケーキなんて1個で十分ですから、お裾分けを期待して待ち構えていた女子社員にプレゼント。

それ以外にも全国の同期や知り合いから依頼があれば引き受けてましたし、逆に私自身も地方支店勤務時に取引先から依頼されて樽詰め味噌を彼らに300樽以上売ったり・・・ま、社内互助会みたいなものです。

しかし、そんなのはまだ序の口。
最大の自爆といえば・・・自動車でした。

とある地方支店に勤務していた20歳代の時、担当していた某自動車ディーラーを訪問して、いつものように

「毎度様で~す!」

と元気よくドアを開けた瞬間、たまたま部屋の一番奥に座っていた社長さんと目が合ってしまったのです。

「おっ、ナベちゃんかぁ、いいところに来たな~。 


ちょっとこっちにおいでョ!」

と手招きされてしまいました。 直観的に


(ま、まずい!)


と思っても後の祭り。 デスクの前に座ると社長さん、おもむろに引き出しから新車のパンフを出して私の目の前に広げました。


「今度さぁ、いいクルマが出たんだょ。

これ、キミみたいな若者にピッタリなんだょナ。

1台買ってくれないかなぁ~? 

いや正直さぁ、キミのライバル損保の○○クンは、二つ返事で買ってくれたんだょなぁ。  ど・う・す・る~?」


実はこの社長の後ろの壁には、取引損保各社の車販協力台数が棒グラフになっていて、一目瞭然。


私たち担当者に無言の圧力をかけているんです。


      


無碍に断って社長を怒らせたら、シェア落とされちゃうかも・・・とは言え、300万円を超える新車なんか到底買えない金欠社員の私。

絶体絶命のナベちゃん、どうする?


 

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