FC2ブログ
国際人

明治維新の時代には様々な人材が登場し活躍しましたが、その中でも特に異色の経歴を持っていたのが

 榎本 武揚


今日は、この明治政府きっての国際人と言える傑物の命日・没後110周年にあたります。


       


 武揚は1836(天保7)年、伊能忠敬の元弟子で将軍・家斉のお気に入りだった幕臣・榎本武規の次男として、現在の東京・台東区浅草橋に生まれました。


14歳で昌平坂学問所に入学しましたが、その2年後に卒業した時の成績は最低の〝丙〟だったとか。

その後函館奉行・堀利煕について蝦夷・箱館(現・函館)に赴き、樺太巡視にも随行。


翌年に長崎海軍伝習所の聴講生となり、1857年に第2期生として(友人の伝手で裏口)入学。


しかし講師だったカッテンディーケからは、高く評価されました。

翌年卒業すると江戸・築地軍艦操練所の教授となり、ジョン万次郎から英語を学びます。

そして1862年6月、武揚は南北戦争勃発によって中止となったアメリカ留学の代わりに、内田正雄・赤松則良らと共にオランダへ留学。


当時同国の海軍大臣に就任していたカッテンディーケの世話になり、船舶運用術・砲術・国際法などを習得。


        
               オランダ留学中の武揚


フランス・イギリスを視察旅行した後、幕府がオランダに発注していた開陽丸に乗って南米大陸を経由し、1867年3月に横浜港に帰着しました。

その2ヶ月後に幕府の軍艦役・開陽丸の艦長に任命され、同年にはオランダ留学仲間だった林研海の妹・たつと結婚。


翌1868年1月初めに敵対していた薩摩藩の平運丸や春日丸を砲撃した彼は、鳥羽・伏見の戦いが始まると大阪城に入城。

しかし肝心の大将・徳川慶喜が自分が乗っていない開陽丸に乗ってとっとと江戸に逃げ帰ったため、大阪城の武器や18万両の大金を別の富士山丸に積み込み、新撰組や旧幕府軍の負傷兵らと共に江戸に戻ると、1月23日には海軍副総裁を拝命。

武揚は徹底抗戦を主張するも、恭順の意を示す慶喜は聞き入れず。

そして同年4月、新政府軍は江戸開城に伴い旧幕府艦隊の引き渡しを要求。


武揚は4隻を明け渡したものの、開陽丸等の主力艦を温存。


8月に徳川家の駿府移封が完了すると、彼は開陽丸・咸臨丸など8隻の軍艦に2,000名余りの旧幕府軍を乗せて江戸を脱出。


途中房総沖で暴風雨に見舞われ咸臨丸・美賀保丸の2隻を失うも北上を続け、仙台を経由して箱館へ。

同年10月に五稜郭を占領し、12月には蝦夷地平定を宣言。

しかし翌年5月に新政府軍の猛攻撃に晒され、18日に降伏。
彼は幹部と共に東京に護送・投獄されました。

通常なら処刑は免れないところですが、敵として相対した黒田清隆がその力量を惜しんで助命を嘆願。

そのおかげで彼は1872年に特赦により出獄、3月には無罪放免に。

そして同年8月、黒田が次官を務めていた北海道開拓使に任官され、同地に赴き各地の資源調査を行って炭田の発見などで功績を残しました。

1874年にはロシアとの領土交渉のため駐露特命全権公使に、併せて日本初の海軍中将に任命されると、同年6月サンクトペテルブノグに着任。

翌年5月に樺太・千島交換条約を締結、翌月には両国の間で争いとなっていたマリア・ルス号事件の訴訟に勝訴。


その後西欧を視察しシベリアを横断して帰国した彼は、外務大輔・海軍卿を務めた後、いったん予備役に退いたものの1882年8月には駐清特命全権公使となって北京へ赴任。

伊藤博文を支えて1884年の天津条約締結に尽力し、帰国後の1885年には第一次伊藤博文内閣の逓信大臣に任命され、1889年の大日本帝国憲法発布式では儀典掛長を務めます。

更に文部大臣・外務大臣・農商務大臣を歴任。


その間にメキシコに殖民団を送ったり東京農業大学の前身である徳川育英会育英黌農業科や東京地学協会・電気学会など数多くの団体を創設。

これだけの実績がありながら総理大臣の椅子に皺れなかったのは、やはり賊軍出身だったからなのでしょうか?


       

      『人生を二度生きる 小説 榎本武揚』 (童門冬二・著 祥伝社文庫)

その彼が腎臓病により73歳でこの世を去ったのは、1908(明治41)年10月26日のことでした。


明治天皇からも信頼されたという武揚ですが、意外と他の明治政府の要人に比べ評価されていないのが不思議です。

誰よりも日本中、いや世界中を飛び回った国際人にスポットが当たることを願いつつ、あらためて冥福を祈りたいと思います。


               人気ブログランキング

スポンサーサイト



コメント
コメント
コメントの投稿
URL:
本文:
パスワード:
非公開コメント: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
トラックバック URL
トラックバック