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藪 蛇

今からちょうど40年前の今日・1975年5月20日、最高裁である事件の再審請求が棄却されました。 しかしその判決内容は

 白鳥決定


と呼ばれ、『再審制度においても疑わしき場合は被告人の利益を優先する刑事裁判の鉄則は適用される』 とし、これによって 『下級審の判断を覆す決定的な反証・証拠がなくともある程度の合理的な疑いがあれば再審の対象となり得る』 という判断を示しました。

これにより財田川事件・免田事件など多くの冤罪認定に繋がったのです。


この決定が出される契機は、その名の由来になった 『白鳥事件』


1952(昭和27)年1月21日夜、札幌市警察の白鳥一雄警部が自転車に乗って帰宅途中、同じく自転車に乗った犯人に背後から射殺されました。

犯人は逃走したものの、警部が生前共産党を取り締まっていたこと、また同党が事件前から警部を脅迫し、また事件後も 「愛国者の英雄的行為」 と関与を仄めかす声明を出したり党員が「見よ、天誅遂に下る」 というビラを撒いたことから、当局は同党関係者の犯行と睨みます。

そして4ヶ月後、共産党員からのタレコミによって同党札幌地区委員だったMらを逮捕。

Mを殺人の共謀共同正犯で、共犯2人を殺人幇助犯として起訴したものの、実行犯とみられる3人は党の手引きによって当時国交のない中華人民共和国に逃亡・亡命。


犯行に使用された拳銃は発見されず、唯一と言っていい物的証拠は、犯行2年前に射撃訓練をした際の銃弾のみという状況。

当時の北海道の状況や事件の詳細を知りたい方には、2011年にこの事件の真相を追い、ラジオ・ドキュメンタリー番組同年のギャラクシー賞・ラジオ部門大賞を受賞した 『インターが聴こえない~白鳥事件60年目の真実~』 を制作したHBC (北海道放送) ・後藤篤志記者の著作

 『亡命者 白鳥警部射殺事件の闇 (筑摩書房・刊)

      


をお勧めします。


結局最高裁まで行った裁判は、Mに対し懲役20年の実刑、共犯2名については執行猶予つきの懲役刑で有罪が確定。

その後出所したMは1994年に自宅火災で焼死・・・出火原因は不明ですが、覚悟の自殺といわれています。

そして中国に逃亡した実行犯3人はいずれも記者の取材により死亡が判明していますが、中国公安当局から正式な死亡通知がないため、海外逃亡中で公訴時効が停止中の彼らに対し検察は逮捕状の更新を続行中。

我が国において効力を有する最古の逮捕状というおまけつきで。

この事件に関しても冤罪説を唱える方がいますが、その後の共産党関係者の証言等からすると、犯行は彼らによって引き起こされたものと私は
推測します。

従って最高裁の判断は妥当だと思いますが、被告の特別抗告を破棄しながら画期的な〝白鳥判断〟が示されたのは、検察が証拠として提出した銃弾が審理過程で犯行に使用された拳銃から発射されたものではないことが判明したため。

要は警察・検察側が焦った末の自爆・・・というか、藪蛇。

しかしその失策のおかげで再審請求の門戸が広がったのですから、皮肉と言うしかありません。

当時と比較すれば、格段に科学技術が進歩し証拠分析が正確かつ厳格になったとはいえ、警察・検察が証拠を捏造することは可能。


またいつまでも逮捕状を更新し続けるという異様なまでの意地が、無罪の人間に罪をなすりつける遠因にもなっているのでは?

そんな冤罪を防ぐためには、やはり取り調べの可視化が最低要件である、と私は思うのですが・・・。

科学に比例して、司法制度や法律も進化してもらいたいものです。うー



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