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相場師

若い方はご存知ないかもしれませんが、私がサラリーマンだった昭和時代、金融機関に勤める者・・・特に証券マンで、彼の名を知らなければモグリと言われる程の有名人がいました。 その人の名は、


 是川 銀蔵 氏


今日は株取引を行う人々にとっては神様の如き存在だった、この稀代の相場師の命日・二十七回忌にあたります。


        


是川氏は1897年、兵庫県赤穂市で漁師を営む貧しい家に7人兄弟の末っ子として生まれました


上の兄たち同様、彼も小学校卒業後は神戸の貿易会社に住み込みの丁稚として働くのですが、この頃から是川氏は

「いつか必ず天下に大号令を出してやる」

という野心を抱いており、早くも彼の波乱万丈、天国と地獄を行ったり来たりの人生がスタートします。


勤め始めてから2年後にその貿易会社が倒産すると、彼はロンドン行きを目論み日本を出国。 


その途上支那に入国した時に第一次大戦が勃発、やむなくそのまま滞在することに。


そこで無一文になった彼は、日本軍にうまく取り入ることに成功し出入り商人に・・・この時、なんと弱冠17歳でした。


1923年に関東大震災が起きると、「バラックが沢山建つ」 と考えトタン板を買占めて巨利を得ますが、肩入れした革命軍が惨敗を喫したことで倒産。

更に1929年の世界的金融恐慌に見舞われ、都合3回の倒産に見舞われます。


しかしここでメゲないのが是川氏。


度重なる倒産経験から、3年間図書館に通って日本および世界経済を徹底的に勉強し、その知識を元に株式投資の道へ。


1933年、大阪・堂島に 『昭和経済研究所(後の是川経済研究所)』 を設立。

以後様々な仕手戦で名を馳せますが、中でも有名なのは私が社会人になりたての1981~2年に繰り広げられた住友金属鉱山の仕手戦。


「菱刈鉱山で金鉱脈発見」 という日経新聞の記事に着目した是川氏は自ら山に分け入って現地調査を行い、確信をもって採掘する同社の株を買い占めます。


仕手戦の結果、約200億円の利益を上げた是川氏は、1983年の高額納税者番付において申告納税額約29億円で堂々の第1位。


彼の職業欄に〝相場師〟と記載されるという、前代未聞の怪挙(?)を達成。驚き顔


しかし彼は、株取引について意外な発言をしているのです。


是川氏が93歳の時に著した自伝 『相場師一代』 (小学館)が私の手許にあるのですが・・・。

              
       ウォームハート 葬儀屋ナベちゃんの徒然草-是川銀蔵


この自伝には、俄かに信じられないような波乱万丈の人生が描かれており、同書の前書きで是川氏はこう記しています。(※一部編集)


「世間の人達は、私があたかも株の売買で成功し、巨万の富を得たと思っているであろう。 

しかし株の売買で成功し巨万の富を得ることは不可能に近い。

私は実際、今でもすっからかん。 財産も何も残っていない。

このことを、著書で警告したいのである。」


どうして儲からないのか? その最大の原因は 「税金だ」 と是川氏は指摘しています。 


実際修正申告を含め、総利益の9割を税金で持っていかれたのだとか。ダメだぁ顔


「税金を払うためにふうふういいながら経済の研究をし相場を張ってきたようなものだ」


そう彼が嘆くのも道理でしょうネ。


実際1992(平成4)年9月12日に95歳で亡くなった時、是川氏には約24億円の借金が残り、遺族は相続放棄を行ったとか。


しかし財産を残すことはできませんでしたが、彼が設立した是川奨学財団は交通遺児等に奨学金を支給する慈善事業を行っています。


我々がとかく想像しがちな〝相場師〟のイメージと、是川氏が歩んだ人生・足跡には大きなギャップがあるように感じますし、昨今の 「自分だけ儲ければいい」 かの如きネット長者などと比較すれば、遥かに尊敬すべき人物だと言えますまいか。


また、相場師でありながらマッカーサーの発言に激怒して稲作の二期作に挑戦する件(くだり)は、是川氏の憂国の想いや熱情が伝わってきて、読む者に感動すら与えてくれます。


昭和の傑物・是川氏の不屈の闘志・嗅覚の鋭さ・恐るべき執念などが凝縮しているこの本・・・是非ご一読をオススメします。


氏が自伝に書き遺した 【投資五ヶ条】 を噛みしめつつ、〝最後の相場師〟のご冥福をお祈り致します。


 1.銘柄は人が薦めるものではなく、自分で勉強して学ぶ。

 2.2年後の経済の変化を自分で予測し大局観をもつ。 

 3.株価には妥当な水準がある。 値上株の深追は禁物。

 4.株価は最終的に業績で決まる。 腕力相場は敬遠する。 

 5.不測の事態などリスクはつきものと心得る。




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