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凡 人

かつて昭和天皇が崩御され、元号変更の記者会見で 「新しい元号は『平成』であります」と額を手に発表したことから〝平成おじさん〟と呼ばれた官房長官・・・といえば、

 小渕 恵三 

であることは、多くの方が記憶されていることでしょう。

今日は、第84代内閣総理大臣でもあったこの政治家の命日・没後15周年にあたります。

この〝平成おじさん〟のイメージがあまりに強烈であったこと、また氏が自民党総裁選立候補して激しい選挙戦を戦った際、ライバルの梶山静六氏を〝軍人〟、小泉純一郎氏を〝変人〟そして小渕氏を〝凡人〟と田中真紀子氏が揶揄しましたが、私は決して小渕氏は凡人だったとは思いません。

むしろ政治家としては世襲議員でありながら実に強かで忍耐強い徳川家康タイプのやり手だった、と評価しています。

小渕氏はの1937(昭和12)年、衆議院議員の小渕光平氏の二男として群馬県吾妻郡中之条町に生まれました。

その父の勧めで地元の小学校から学習院初等科に編入。

しかし田舎育ちだった彼は都会暮らしに馴染めず、クラスメートから〝群馬〟とからかわれていたそうな。

都立北高から2浪して早稲田大学に進学したものの、在学中に父・光平氏が急逝。

その時恵三氏はまだ23歳だったため被選挙権がなく、支援者は急遽元参議院議員の伊能芳雄氏を後継者として立候補させましたが落選。

しかしこの落選が、結果的に小渕氏を国会に送り出す下地になりました。


早大大学院在学中だった1963(昭和38)年、衆院選に旧・群馬3区から自民党公認で立候補し26歳で初当選。

同選挙区は福田赳夫・中曽根康弘両氏の地盤であり、社会党書記長にもなった山口鶴男氏とも戦わねばならない超激戦区。

小渕氏は自らを〝ビルの谷間のラーメン屋〟と自嘲気味に例えていましたが、以後12回連続当選を果たしたのですから、ご立派。

自民党内では佐藤派→田中派→竹下派と保守本流の派閥に属して汗をかき、渡部恒三・橋本竜太郎両氏らと〝竹下派七奉行〟に列せられ、着々と力をつけました。

1979年、第2次大平内閣で沖縄開発庁長官として初入閣。


1987年に竹下内閣の官房長官に任命されたことで、冒頭の〝平成おじさん〟になり、1991年には自民党幹事長に就任。

その後竹下派を引き継いで小渕派の領袖となると、1997年の第2次橋本内閣で外務大臣に就任。

外務省の反対を押し切って対人地雷全面禁止条約を締結するなどの働きが評価され、後の総理大臣就任の道筋をつけたといわれています。

その橋本総理が消費税増税の反動により参院選で大敗北を喫し辞任。

次期総裁選で〝凡人〟小渕氏が当選し総理大臣の椅子に座ったものの、参院では野党に過半数を握られたこともあり当初は低支持率でのスタートでした。

就任直後にはニューヨーク・タイムズに〝冷めたピザほどの魅力しかない〟と揶揄され、タイム誌の表紙にはそれを皮肉った写真も掲載されました。


         


しかし小渕氏は、その穏やかな外見・イメージとは違って中々の策士。 会見では、

「レンジでチンすれば温かくなる。 皆さんもホットでクイックな小渕ブランドのピザを売ったらどうですか?」


と切り返して外国人記者にピザを配りましたし。


そして師匠・田中角栄氏の教え・・・〝権力を握るためには味方を作るより敵を減らすこと〟を実践する如く、実にこまめな行動を取りました。

その最たる例が、〝ブッチホン〟。

政財界に限らず、とにかく様々な業界の人々に電話をかけまくったことは、つとに有名。

そりゃあ誰だって時の総理大臣から丁重な電話をいただけば感激するというもの。

もちろん私にかかってはきませんでしたが、21世紀に入ったばかりの2000年正月早々、観ていたTV番組 『ズームイン!!朝!』 の生放送中スタジオに突然かかってきて、司会の福澤朗アナが狼狽するのを目撃し、

(なるほど、これが噂のブッチホンかァ~)

と感心したことは、今でも憶えています。

そして飄々としたイメージとは裏腹に、在任期間中には周辺事態法・通信傍受法・国旗国歌法など長年の懸案を一気に片付け、金融不安に終止符を打つなど経済の舵取りも堅調。

公明党との連携を始めたことに批判はあるものの、総理在任期間中の働きは高く評価されるべきだと思います。


しかしそんな小渕総理を襲ったのは、病魔でした。


2000(平成12)年4月2日に脳梗塞を発症し順天堂大学附属病院に緊急入院・・・そのまま昏睡状態が続いた末、5月14日に62歳で逝去。


入院した病院・死因とも、奇しくも父・光平氏と同じでした。


志半ばでこの世を去った父の地盤を引き継いだのは次女・小渕優子氏ですが、残念ながら昨年政治資金問題の発覚により就任後僅か1ヶ月余りで経済産業大臣の辞任に追い込まれました。

父がどぶ板を踏んで築いてきた財産を、彼女が守れるかどうか?・・・今後を注目しつつ、〝非凡なる凡人〟だった平成のおじさんのご冥福をあらためてお祈り致します。笑3


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