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内発力

今日は、我が愛読誌・月刊『致知』9月号より、藤尾秀昭編集発行人の巻頭エッセーを一部編集・抜粋にてご紹介致します。

          ◆     ◆     ◆     ◆


〝内発力〟・・・この言葉は辞書にはない。 本誌の造語である。

〝内発的〟なら辞書にある。 外からの刺激によらず、内からの欲求によって起きるさま、と説明されている。

内からの欲求によって湧き出す力・・・これを称して内発力という。

内発力の弱い人に真の成長はない。
自らの人生を切り開いた人は皆、内発力の強い人である。

故・渡部昇一先生がそうであった。

       

渡部先生が上智大学1年生の時である。
父親が失職し、授業料の目途が立たなくなった。
困った先生は授業料免除の特待生になることを決意する。

当時、上智大の寮に井戸があった。
先生は毎朝5時に起きて井戸水をかぶり、勉強机に向かう。

目指すは全科目百点である。 必死に勉強した。
結果は総合得点で2番手に200点以上の差をつけ、特待生になることができた。

その頃、アメリカ留学の話があった。
成績トップの先生は、当然選ばれると思っていた。
ところが選ばれたのは別人だった。

「渡部は社交性がない。」 というのが理由だった。

貧乏学生で服装はいつも着たきり雀。
喫茶店などに入る余裕もなく、そして何よりも勉強。
そんな様子が非社交的と看做されたのである。

それでも先生は腐らなかった。
全科目百点を目指して勉強を続け、英語学はイギリスよりドイツが進んでいると聞き、ドイツ語の学習もずっと続けた。

大学院を卒業し、助手になった時に幸運は起きた。
大学院長に指示されたドイツ語の翻訳を完璧にこなしたことで、ドイツ留学の話が決まったのである。


最初の留学話から5年後のことだった。

1番の自分が外された現実に先生は腐ることなく、内からの欲求に突き動かされて努力し、それを持続した。

まさに内発力である。
その力が実力を養い、幸運の女神が微笑む要因となったのだ。

各界の一流プロフェッショナルに共通しているのは、この内発力の強さである。

例えば人間国宝の講談師・一龍斎貞水さんの言葉。

「教えてくれなきゃできないって言ってる人間は、教えたって出来ない。
僕はたまに〝貞水さんはあまり後輩にものを教えませんね〟って言われるけど、僕らは教えるんじゃなくて伝える役。
それを受け取ろう、自分の身に先人の技を刻み込もうとする人間には伝わっていく。」

また銀座の鮨屋・すきやばし次郎の主人・小野二郎さんも言う。

「教えてもらったことは忘れる。 自分が盗んだものは忘れない。」

内発力のないところにいかなる成長もないことを、2人の先達の言葉は教えている。

最後に、侍ジャパンの監督を務めた小久保裕紀さんが新聞に語った、イチロー選手との忘れられない思い出をご紹介する。


小久保選手はプロ2年目に本塁打王を獲得。 だが天狗になり、翌シーズンは散々。

一方のイチロー選手は3年連続の首位打者へ邁進中。

   

その年のオールスターゲーム前に外野を2人でランニング中、小久保選手はイチロー選手に聞いた。

「モチベーションが下がった事、ないの?」

するとイチロー選手は小久保選手の目を見つめながら

「小久保さんは数字を残すために野球をやっているんですか?

僕は心の中に磨き上げたい石がある。 それを野球を通して輝かせたい。」

自分はなんと恥ずかしい質問をしたのかと、小久保選手は顔が赤くなった。

イチロー選手の一言で、「野球を通じて人間を磨く」 というキーワードを得たのだという。

内発力で生きている人間の真骨頂を、イチロー選手の言葉に見る。

          ◆     ◆     ◆     ◆

皆さんの中にも、内発力が秘められているはず。

そしてそれは、年齢に関係なく本人の自覚次第でいつでも爆発するでしょう。




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コメント
コメント
内発力
子育てをしているとホント実感します。
本人が心から望んだことは、放っておいても勝手にどんどんしていきますものね。
2018/08/06(月) 06:57:55 | URL | はーとまいんど #- [ 編集 ]
◇はーとまいんどさん
コメントありがとうございます。
> 本人が心から望んだことは、放っておいても勝手にどんどんしていきますものね。
そういう風に育てた親御さんが、立派だと思いますょ。(*^^)/
2018/08/07(火) 01:40:42 | URL | ナベちゃん #- [ 編集 ]
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