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しょっぱいコーヒー < 上 >

4月に新社会人となった方・・・早くも1ヶ月経過しましたが、いかがお過ごしでしょうか?

いわゆる〝五月病〟に罹ってしまい、実家でふさぎ込んでいる若者もいるかも・・・。

でもせっかく就職難の中で入社したのですから、簡単に辞めることなく頑張って欲しいもの。


そんな新社会人の皆さんに、細やかながら私の若き日の体験談をエールとして送らせていただきます。


          ◆     ◆     ◆     ◆


それは、私が某損保会社に入社して2年目のことでした。


当時、世界的に有名なホテル・チェーンが東京に新しいホテルを建設することになり、私の勤務先が同ホテル日本法人の主要株主に。


そんな中、いつものように出勤して日経産業新聞(自腹!)を読んでいたところ、


「メンテナンス関係のN社が新しい機械を開発した」


という囲み記事が目に入ったのです。


調べてみると、N社は業界の後発組・・・そこで、ある考えが頭に浮かびました。


午後一番にアポなしで新宿にあるN社の本社に赴いた私は、受付の女性に名刺を出すなり言いました。


「すみません、営業の最高責任者にお会いしたいんですが・・・。」


今から考えれば何という無鉄砲な訪問!

でも当時の私は、そんなことを考えられるレベルではなかったんです。


「はぁ・・・?」 

と首を傾げながらも受付嬢が取り次いで下さり、出てこられたのは私の父親と同年代に見える常務取締役営業本部長のSさんでした。


「一体、何のご用件で?」


 と、私を見つめながら訝しげに口を開いたS常務。


そりゃそうですょね。 アポなしで営業トップと会いたい・・・って言って来たのが、名刺には何の肩書きも書かれていない無印ヒラ社員なんですから。


       


私は受付の前で立ったまま、今朝の新聞でN社の記事を読んだこと、そして新しいホテル建設と自社の関係を説明した後、こう言ったのです。


「私としては、是非御社の新製品をこのホテルに納入できるようお手伝いをさせていただきたのですが、いかがですか?」


それまでいつ追い返そうかと考えていた (らしい・・・後に本人・談) S常務の顔がみるみる紅潮してきまして・・・。


「わ、渡辺さんでしたょね。 ち、ちょっと今、社長呼んできますから。 

どうぞこちらの応接でお待ち下さい。 おいキミ、コーヒーをお出しして!」


そう受付嬢に言いつけると、ソソクサと奥に消えていきました。


通された応接室でコーヒーをすすっていると、10分程して社長さんとS常務が入ってこられました。


「いやぁ、渡辺さん・・・わざわざ弊社にお越しいただき恐縮です。

私共としては、そのお話を是非進めていただきたく、よろしくお願いします。」


さっきまでとは、大違い。あせあせ 


あらためて私の提案内容を聞いていただいた後、社長さんが一言。


「で、渡辺さん。 あなたにご協力いただく条件は何ですか?」


「それは・・・もし参入が決まったら、御社が現在かけていらっしゃる保険、たとえば自動車保険を弊社に切り替えていただきたいのですが。」


N社とすれば単に契約先を切り替えればいいだけですから、新たな負担は不要・・・悪い条件ではないはず。


聞けばN社の自動車保険料は、私の新規ノルマ1年分に匹敵する大口契約! 私も目の色が変わりました。


「では、今後ともよろしくお願い致します。」 


受付嬢に首を傾げられてから約1時間後、私は社長・S常務の2人に玄関先で深々と頭を下げていただきながら、N社を後にしたのです。


(よっしゃあ、一丁やったるでェ!)


入社以来、初めて体の中で炎が燃えるような熱を感じた新米ナベちゃんの、明日はどっちだ!?


                     ・・・To be continued!


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