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先 見

明治維新前後の日本には、優秀な人財が数多く輩出されました。

〝明治の三傑〟といわれた西郷隆盛・木戸孝允・大久保利通のような有名人もいますが、人知れず日本に尽くした傑物も見逃せません。

今日は、江戸幕府末期に勘定奉行などの要職を務め、明治維新以降富国強兵を目指した日本に大きく貢献しながら、最期は非業の死を遂げた


                  た だ ま さ
 小栗上野介忠順


の命日・没後150周年にあたります。


        

1827(文政10)年に旗本・小栗忠高の子として生まれましたが、忠順の祖父・中川忠英も勘定奉行を務めた由緒ある家系の出。

幼少時はいたずら好きの悪童でしたが、やがてその文武両道の才能を開花させ、13歳にして結城啓之助から開国論を学び、また剣は直新影流・免許皆伝の腕前に、そして砲術までも学びます。

17歳の時に初登城するやその才を認められ、早くして書院番などの出世コースを歩み、22歳の時に林田藩の前藩主の娘・道子と結婚。

1855年に父の病死により家督を相続しました。

そして1860(安政7)年に遣米使節・目付としてポーハタン号に乗って(咸臨丸と同時期に)渡米。 


現地では堂々として振る舞いで代表と間違われたとか。

     

                  ポーハタン号

そして船や鉄道を乗り継いで東海岸・ワシントンに到着。

アメリカの鉄鋼所や造船所を見学して、その規模の凄さに圧倒された小栗は、大西洋を横切り喜望峰~インド洋を航海して帰国。

地球を一周した初めての日本人となった彼は、その体験を買われて外国奉行に。


更に1862年6月に勘定奉行となって巨額の軍費に喘ぐ幕府の財政立て直しに尽力し、翌年には陸軍奉行、そして更にその翌年には軍艦奉行に。


現代で言えば、財務大臣から防衛大臣を毎年務めるという、まさに大車輪の活躍。

しかし1867年、15代将軍・慶喜の大政奉還に強く反対し徹底抗戦を主張したため翌年1月に罷免され、友人が勧めたアメリカ亡命を断り自ら望んで家族と共に現在の群馬県高崎市に転居。

その僅か2ヶ月後に追走してきた薩長軍に捕えられ、ろくな吟味もないまま4月6日、家臣と共に河原に引き出され、斬首されてしまいました。

まだ42歳という若さで・・・。

こうやって略歴をご紹介すると、「なんでこの幕閣が富国強兵に関わっているの?」 と不思議に思う方もいらっしゃるでしょう。

実はこの方、軍艦奉行になった直後に軍艦を日本で建造する造船所の建設を発案しているのです。

これは彼がアメリカの視察を通して、今後の日本は木の国から鉄の国に変貌させることが不可欠だという確信を持ったが故の進言。

また帰国途中香港に立ち寄った際、アヘン戦争に敗れた中国でイギリス人が道の真ん中を歩き、中国人が道の端をスゴスゴと歩いている様子を見て植民地がどういうものかを実感し、日本の将来に危機感を抱いていたのでしょう。


幕閣たちが皆反対したものの、14代将軍・家茂はこれを承認。

彼はフランス人公使・技師の協力を得て建造地を横須賀に決定。


巨費を投じ当初は製鉄所として建設が開始されましたが、新政府が誕生し接収された後、1871年に完成。

その翌年に海軍省の管轄となり、1903(明治36)年からは横須賀海軍工廠(こうしょう)として、数多くの国産軍艦を建造したのです。

          
          
   1872(明治5)年頃の横須賀造船所

そして2年後の1905年5月、日露戦争・日本海海戦においてバルチック艦隊を撃破した連合艦隊には 『音羽』・『新高』・『春雨』 など同工廠で建造された巡洋艦などが活躍。

後に東郷平八郎が自宅に忠順の遺族を招き、


「日本海海戦の勝利は、小栗が作った横須賀造船所のおかげ」

と礼を述べたのも頷けます。

もし忠順なかりせば、日本の歴史は大きく変わっていたことでしょう。

彼のことをもっと詳しく知りたくなった方には、この書籍をのご一読をオススメします。


  『小栗上野介』 (村上泰賢・著 平凡社新書・刊)  


       


彼のグローバルな思想と、日本初の本格的ホテル 『築地ホテル館』 や日本初のフランス語学校を建設し、また日本初の株式会社 『兵庫商社』 を設立した功績などを知ることが出来ます。

敗軍の将であったがために歴史の中でスポットを浴びなくても、我が国の礎を築いた逸材がいたことを、私たちは後世に伝えるべきでしょう。

大隈重信に 「明治の近代化は殆ど小栗上野介の構想の模倣に過ぎない」 と言わしめ、司馬遼太郎がその先見性を高く評価して〝明治の父〟と呼んだ偉人のご冥福を、改めてお祈り致します。扇子




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