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磁 力

小学生時代、〝N〟・〝S〟と書かれた棒状・U字型の磁石で釘などをくっつけて遊んだり授業で実験した記憶があると思います。

この磁石、実は我々の日常生活には不可欠のもの。

特に
外部からエネルギーを加えることなく、自発的かつ定常的に磁場を外部に発生させる


永久磁石

は、自動車やPC・家電製品に数多く利用されていますが・・・実はこの磁石の発明・開発が日本のお家芸・得意分野であることをご存知でしょうか?


永久磁石そのものの歴史は古く、落雷などにより着磁された天然の磁鉄鉱は紀元前より世界各地で用いられていたことが知られているそうですが、人工的な永久磁石材料の発明・開発は100年余りの歴史しかありません。

その端緒となる、従来のタングステン鋼に比べ3倍の耐久力と1.5倍の磁力を持つ 『KS鋼』 の特許(第32234号)が認められたのが、今からちょうど100年前の今日・1918(大正7)年2月22日のことでした。


 
                KS鋼各種 と 日本特許


この画期的な永久磁石を発明したのは、後に〝鐵の神様〟〝鐵鋼の父〟等と呼ばれた、金属材料研究所初代所長にして第6代東北帝国大学総長も務めた物理学者の

 
本多 光太郎  博士 (1870-1954)

       


現在の愛知県岡崎市に生まれ、尋常小学校の頃は〝鼻たらしの光さん〟と呼ばれ勉強嫌いだったという彼は、1897年に東京帝国大学理学大学物理学科を卒業すると鉄族元素の磁気ひずみや分子磁石説を展開し、36歳で理学博士の学位を取得。

その後ドイツ・フランス・イギリスに留学、1911年に帰国後東北帝国大学理学大学が開設されると教授に就任した彼は、1914年に第一次世界大戦が勃発したことにより磁石鋼の輸入が途絶えたことで自給する必要に迫られます。

そして46歳だった1916年にコバルト・タングステン・クロム・炭素を含む磁石鋼・『KS鋼』の開発に成功し、特許を取得したのです。


※『KS鋼』の名称は、この研究のスポンサーだった住友グループの前身である住友総本店々主・住友吉左エ門のイニシャルから付けられました。


この本多博士、まさに〝実験魔〟と言える程の実験好きだったそうな。


結婚式当日、新郎である彼が式場に姿を現さなかったため、よもやと思った友人が大学の研究室に行ったら、そこで実験していた・・・という逸話が残っている程。

1931年に東京帝大の三島徳七助教授(当時)が 『KS鋼』 の2倍の磁力を持つ 『MK鋼』 (名称の由来は同氏が養子入りした三島家と実家・
喜住家のイニシャル) を開発すると、更にそれ以上の磁力(『KS鋼』の4倍近くの保磁力)を持つ 『新KS鋼』 を開発できたのも、実験魔の為せる業と言えましょう。


※但し実際に発明したのは、本多氏が所長を務めていた鉄鋼研究所に所属する増本量・白川勇紀という2人の教え子であり、彼らの希望により特許出願は本多氏の名前で行われました。

1932年に日本人で初めてノーベル物理学賞の候補者となり、1937年には第1回文化勲章の受章者になったのも、頷けます。

ちなみに、現在世界最強と言われる永久磁石・『ネオジム磁石』を開発しノーベル物理学賞の候補にも名前が挙がった佐川眞人(1943- 現・大同特殊鋼顧問)氏も、東北大学大学院出身で富士通に入社後、自ら発見したネオジム磁石の研究に打ち込むためわざわざ住友特殊金属に転籍した方。


       

本多氏の教えは、脈々と同大学に息づいているようです。

その 『ネオジム磁石』、PCのハードディスクや携帯電話のマナーモードなど多分野で利用されていますが、通販などで簡単かつ安価で手に入ります。

購入して、童心に帰って子供さんと遊んでみてはいかがでしょう。
但し相当強い磁力ですから、ケガしないように気を付けて・・・。

  

そしてこの(永久)磁石に興味の湧いた方には、この本のご一読をオススメします。


 『磁石の発明特許物語 六人の先覚者』 
           
(鈴木雄一・著 アグネ技術センター・刊

        


やや専門的な理系向きの本ですが、磁石業界をリードしてきた本多・佐川両氏を含め日本人科学者6名の奮闘ぶりや国際特許出願の実態が分かりますョ。扇子


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