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敵 意

中高年の方なら、『白い恋人たち』 という映画をご存知だと思います。

また映画を観たことはなくても、フランシス・レイが紡ぎ出したこのメロディーは耳にしたことがあるはず。(↓)



ご覧になった通り、この作品はグルノープル冬季五輪の記録映画。

この4年前に開催された東京五輪の、(一昨日拙ブログでご紹介した) 市川崑監督の記録映画 『東京オリンピック』 を意識して作られたといわれている秀作です。

同大会のアルペン競技で回転・大回転・滑降の3種目全てで金メダルを獲得したジャン・クロード・キリー選手のカッコ良かったこと。

映画では彼の滑る場面くらいしか憶えていない私ですが、それとは別にこの大会のテレビ中継で忘れられない試合があるのです。

それは、今からちょうど50年前の今日・1968年2月15日に行われたアイスホッケーの

 チェコ 対 ソ連

の一戦。 よく〝スポーツと政治は別〟と言われますが、実際にはそんな綺麗事は通りません。

この試合は、当時の国際情勢・チェコの政情がそのまま持ち込まれた、壮絶な一戦でした。


       


この大会前、チェコを長年支配してきたノヴォトニー・共産党第一書記兼大統領に対する批判が国内で高まり、大会前の1月には第一書記がドゥプチェクに交代。

検閲が廃止されるなど、いわゆる〝プラハの春〟と呼ばれる大きな国情の転換が期待される中、ソ連を中心とするワルシャワ条約機構に加盟する東欧各国がこの事態を憂慮。

チェコに対する批判や圧力がかかり始めた時に、この試合は行われたのです。

当時のアイスホッケーはソ連が圧倒的な強さを誇っていました。

この大会では現在のような決勝トーナメント方式ではなく、リーグ戦。

ソ連は全勝、それを追うチェコは1敗でこの日の対戦を迎えました。

試合会場の観客殆どがチェコを応援する異様な雰囲気の中、フェイス・オフ。

試合内容は圧倒的にソ連有利だったものの、チェコは体を張ってソ連のシュートを防ぎ、取られたら取り返す執念の試合運びで4-4の同点のまま終盤へ。

そしてジリク選手が放ったシュートが見事決まり、試合は5-4でチェコが奇跡的勝利!

この時チェコの選手は狂喜乱舞、観客は総立ち・・・でしたが、負けたソ連選手が一様に冷静というか無表情だったことに、私は子供ながら不気味さを感じたことを憶えています。

もちろん当時小学校3年生だった私は政治のことなど全くの無知でしたが、それがただの試合でないことは観ていて分かりました。

やはり人間って、気持ちが入ると100%以上の力を出すものなんですねぇ。

しかしこの試合で燃え尽きてしまったのか、チェコは2日後の最終戦で引き分けてしまい、銀メダル。

金メダルをソ連にさらわれてしまいましたが・・・。

そしてこの試合の半年後、チェコに対しソ連率いるワルシャワ条約機構軍が国境を越えて侵攻。

プラハ市内に戦車が入って〝プラハの春〟は終わりを告げ、再び冬の時代に逆戻り。

東欧に本格的な春が訪れるには、〝ベルリンの壁崩壊〟まで約20年を要しました。

この試合は、まさに真冬の東欧に一瞬の春・・・というか、一瞬の炎の揺らぎを感じさせた歴史的一戦だったといえましょう。


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