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奇 才

この方を一言で表現するなら、〝歩く百科事典〟でしょうか?

今日は日本を代表する天才にして奇人でもあった生物学者・民族学者、


   みなかた くまぐす
 南方 熊楠


の命日にあたります。


        


熊楠は、明治改元直前の1867(慶応3)年に現在の和歌山市で金物・雑貨商を営む弥兵衛の次男として生まれました。

※熊楠という珍しい名前は、彼が特に虚弱体質だったため、健康長寿を願って地元の風習に倣い熊野の〝熊〟と大楠の〝楠〟の2文字を授けられたものだそうな。


子供の頃から猛烈な読書家として、また抜群の記憶力を持つ神童として知られた彼は、蔵書家に100冊以上もある 『和漢三才図会』 という大書を読ませてもらい、それを記憶しては帰宅後書写を繰り返し、とうとう5年後に完成させてしまったという逸話を残しています。


他にもおびただしい冊数の本を書写したことで、彼の頭の中に百科事典並みの知識が詰め込まれたのですが、彼は癇癪持ちで好きなことだけを徹底的になる性質。

学校の勉強はそっちのけで動植物を観察すべく野山を歩き回っていたため、成績はあまり良くなかったのだそうな。


何ともったいない・・・と思うのは、私のような凡人だけ?
あせあせ


1879年に和歌山中学校(現・和歌山県立桐蔭高校)に入学し、後に行進曲 『軍艦』 を作詞した鳥山啓先生に薫陶を受け博物学に目覚めた彼は、中学卒業後上京。

共立学校(現・開成高校)で高橋是清に英語を習い、1884年に大学予備門(現・東京大学)に入学。

同窓生には夏目漱石・正岡子規・秋山好古など錚々たるメンバーがいましたが、彼は学業そっちのけで高校時代に興味を持った菌類の標本採集や遺跡発掘などの考古学に没頭。

それがために中間試験で落第してしまった熊楠は、予備門を中退し1886年暮れに(懲役逃れもあって)アメリカへ渡ります。

翌年夏にミシガン州農業大学に入学するも、飲酒禁止の校則を破って自主退学した彼は、動植物の観察と読書に没頭。


       

               アメリカ留学時代の熊楠


フロリダ州に移って中国人の経営する店で住み込みで働きながら生物調査を続けた彼は、キューバにも渡るなどして新たに発見した緑藻についての研究論文を科学雑誌 『ネイチャー』 で発表し注目を集めます。

※その後彼の寄稿論文は世界的に注目を集めた『東洋の星座』など延べ51本も同誌に掲載されており、単独寄稿としては歴代最多記録だそうな。


その後渡英して亡命中の孫文とも親交を深めるなどした彼は1990年、14年ぶりに帰国。

熊野で植物採集を続けた彼は、40歳の時に12歳年下だった宮司の娘・松枝と結婚。


その翌年には明治政府が発布した神社合祀令の反対運動を起こしました。

その後も新種の粘菌発見などをした彼の研究に興味を持った昭和天皇が1929(昭和4)年6月に自ら和歌山に出向き、戦艦『長門』艦上で熊楠から御進講を受けられましたから、その研究レベルは相当に高かったと言えます。


       
                  
晩年の熊楠


日米開戦直後の1941(昭和16)年12月29日、萎縮腎により74歳の生涯を閉じた熊楠については、その学問上の功績とは別に、様々な奇行も伝えられています。

例えば、ロンドン滞在中に大英博物館で人種差別を受けたとして相手に頭突きを食らわせて出入り禁止になったり、
教育会主催の講習会場に酩酊状態で押し入り、翌日家宅侵入で逮捕されたりと、逸話に事欠きません。

『十二支考』などの著作や多数の論文・書簡を残した彼の人物像にもっと触れたい方には、こちらの書籍をオススメします。


 『縛られた巨人 南方熊楠の生涯』 

                              (神坂次郎・著 新潮文庫・刊)


       


また細かい字を読むのが辛い・・・と言う方には、『ゲゲゲの鬼太郎』でお馴染みの水木しげる先生がマンガで描いた

 『猫楠 南方熊楠の生涯』 (角川文庫ソフィア・刊)


       


をオススメします。

猫好きだった彼の姿が、表紙からしっかり描かれていますョ。

学問の内容はともかく、彼の奇人ぶりはよく分かります。
あせあせ

〝馬鹿と天才は紙一重〟と言いますが、20年前に会った人の名前はおろか同席者の名前や会話の内容を再現できたという並外れた記憶力と、英・仏・伊・独・ラテン語など18ヶ国語を操り漢文の読解力に秀でていながらも奇行を繰り返した彼は、果たしてそのどちらだったのか?

その答えは、これらの書を読んだ皆さんの判断にお任せします。


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