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黒ずくめ

〝汚れつちまつた悲しみに 今日も小雪の降りかかる・・・〟

アニメ 『宇宙戦艦ヤマト2199』 の中で、真田副長が口ずさんだり文庫本を読んでいたことで、彼の名を知った若者も少なくないでしょう。


※原作の 『宇宙戦艦ヤマト』 には、このシーンは登場しません。


      


今日は、若くしてこの世を去った天才詩人、

ちゅうや

 中原 中也

の命日・没後80周年にあたります。


          


中也は1907(明治40)年、代々山口市で開業医を営む名家の長男として、柏村謙助・フク夫妻の間に生まれました。


当時父親は軍医を務めていた関係で転勤が多く、中也も旅順や広島に転居したものの、小学校は地元・山口の下宇野令小学校に入学。

成績優秀で神童と呼ばれ、また父親も息子が医者になることを期待し、彼が生まれた中原医院の養子にして中原姓を名乗るように。

しかし、その直後に中也の人生を変える出来事が・・・それは、4歳の弟・亜郎が肺結核で亡くなった事。

よく身内の死に接して医学の道に進む、という話を聞きますが、中也の場合は元々医者になることを期待されていたのに、この時初めて詩を書き、その後詩人としての道を歩み始めたのです。


1918年に山口師範付属小学校に転向した彼は、教育熱心な両親から厳しく育てられましたが、彼は小学校6年生から短歌を作り始め、雑誌に投稿・入選を果たしています。

そして山口県立山口中学に12番の成績で進学したものの、読書に耽ったり両親に内緒で短歌会に参加した上に酒・タバコを覚えて不良少年と化し、成績は急降下。

そして遂に落第したことで、彼は京都・立命館中学校に転校し、1人で下宿生活を送ることに。

しかしそれが却って両親の期待を裏切る結果になりました。

15歳の時に詩人として生活していくと決意した中也は、なんと16歳の時に3歳年上の大部屋女優・長谷川泰子と同棲。

1925年に中学を4年で終了した彼は、大学予科受験を口実に泰子を伴い上京。


しかし大学には入学できず、予備校通いを条件に親から仕送りを受けて東京暮らしを続けますが、この頃知り合った当時東京帝大仏文科1年の小林秀雄と知り合います。

それが良かったのか悪かったのか・・・なんと泰子は中也の元を去り、秀雄に乗り換えてしまいます。

なぜかそれでも中也と秀雄の関係は壊れなかったそうですが、中也は日本大学予科文科に合格したものの1科目も試験を受けぬまま、9月には良心に黙ったまま退学。

更に同人誌に寄稿するなど、文学の道を進み始めます。

1929年に大岡昇平らと同人雑誌『白痴群』を創刊するも、その後仲間割れ等で廃刊。

1933年に東京外語専修科を卒業した彼は、近所の学生にフランス語を教えて小遣いを稼ぎながら詩集の刊行を画策。

同年12月に 『ランボオ詩集』 の翻訳を三笠書房より刊行。


同時期に、母・フクの勧めをあっさり受け入れて遠縁にあたる6歳下の上野孝子と結婚。


       

そして冒頭ご紹介した、真田副長が口ずさんだ詩が収められている詩集 『山羊の歌』 を翌年11月に刊行。

これが好評で、彼の元に原稿依頼が来るようになり、1936年6月に刊行した 『ランボオ詩抄』 で初めて印税を手にしたのですが、同年11月に溺愛していた長男・文也が小児結核で他界。

この悲劇が彼の心身を深く傷付けてしまいました。

次男が生まれてもその傷は癒えず、精神的に不安定になると共に、痛風や脳膜炎を発症した中也は、1937(昭和12)年10月22日に30歳の若さでこの世を去ったのです。


       


僅か10年程の詩人生活だっただけに作品数は少ないものの、小林秀雄・河上徹太郎らの友人から高く評価され、宮沢賢治に惹かれたという彼の独特な作風は、室生犀星や荻原朔太郎らからも一目置かれたとか。


世間一般的な見方をすれば、親の期待を見事に裏切った放蕩息子という感じですが、黒い背広に黒いベレー帽、冬は黒い外套という黒ずくめの服装がトレードマークだったという彼が思い描いた独特の世界に、皆さんも一度は触れてみませんか?

最後に、冒頭の詩を以下にご紹介しますので・・・。


 汚れつちまつた悲しみに  今日も小雪の降りかかる
 汚れつちまつた悲しみに  今日も風さへ吹きすぎる

 汚れつちまつた悲しみは  たとへぱ狐の革裘(かわころも)
 汚れつちまつた悲しみは  小雪のかかつてちぢこまる

 汚れつちまつた悲しみは  なにのぞむなくねがふなく
 汚れつちまつた悲しみは  倦怠(けだい)のうちに死を夢む

 汚れつちまつた悲しみに  いたいたしくも怖気づき
 汚れつちまつた悲しみに  なすところもなく日は暮れる・・・・・・


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