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理論派

読売巨人軍がドジャーズ戦法を取り入れてV9を達成したことは有名ですが、一方でID野球の元祖として有名な知将といえば、野村克也氏。

しかしその野村氏にもお手本というか師匠にあたる野球人がいました。 その方とは


 ドン・リー・ブラッシングゲーム

     Don Lee Blasingame

野球ファンでも 「この人、誰?」 と仰る方がいらっしゃるかもしれません。

今日は、日本球界ではドン・ブレイザーと呼ばれ、複数球団で選手・コーチ・監督として活躍したこの元メジャー・リーガーの命日・没後10周年にあたります。

1932年にミシシッピー州コリンスに生まれたブレイザーは、高校卒業後アメリカ陸軍に入隊。

除隊後1953年にセントルイス・カージナルスと契約し、1955年にメジャー昇格を果たすと、以降12シーズンに渡り複数球団で2塁手として活躍(通算1,366安打・打率.258)、オールスターにも出場経験がありました。


その彼が日本との接点を持ったのは、1959年にカージナルスが来日して南海ホークスと大毎オリオンズ連合チームと対戦したこと。

この時の鮮やかな守備が、後に南海入りに繋がったと言われていますが、同時にこの時の基礎練習を繰り返し行うブレイザーの姿に、理論派で鳴る当時ジャイアンツの遊撃手だった広岡達朗選手は大いに触発されたといいます。

そして1967(昭和42)年に南海ホークスに入団。


〝ブラッシングゲーム〟は長すぎてスコアボードに書けないため、登録名を〝ブレイザー〟として以後3シーズンにわたりプレー。

67・68年と2年連続ベストナインを獲得する活躍を見せたのですが、その時に南海の正捕手だったのが野村克也選手。

彼は頻繁にブレイザーを食事に誘っては、彼の野球知識を吸収したといいます。

それは、身長177cmという日本人とほぼ同じ体格の彼が10年以上もメジャーでプレーできたのは、優れた野球理論を持っていたから・・・と推測したから。

その目の付け所は、さすがノムさんと言えますが、ブレイザーの卓越した野球理論は後にID野球で一世を風靡した野村捕手のお手本・基礎になったことは間違いありません。

その野村選手が1970年から選手兼任監督に就任した際、彼の要請でブレイザーはヘッドコーチに就任。

試合前のミーティングでは、それまで選手たちが知らない理論を伝授。

1973年には南海の日本一に貢献したものの、1977年には野村監督の解任と共に退団。


翌年はコーチ時代から親交のあった古葉監督に招かれ広島カープの守備兼ヘッドコーチに。

そして1979年からは阪神タイガースの監督に就任します。


          


就任1年目は前季の最下位から4位に浮上。

勝数も前年より20勝も増やし、さすがは元祖シンキング・ベースボールの面目躍如・・・と思わせましたが、そこはお家騒動の伝統を持つ阪神。

翌1980年にはドラフト1位で獲得した岡田彰選手の起用法を巡って、2軍で鍛えたいブレイザー監督と興業優先で即1軍入りを希望するフロントが衝突。

更にヤクルトから補強したヒルトン選手を不調にもかかわらず起用し続けたことで阪神ファンは激怒。

自宅にカミソリ入りの封筒が届き、元ミス・カリフォルニアの奥さんが 「もう、こんな野蛮な国に居たくない」 と帰国を口にしたこともあり、ブレイザーはシーズン序盤の5月中旬に退団を決意。

志半ばにして、阪神を去りました。

名将の評価が高かった彼には、その後も複数の球団から監督就任のオファーがあり、1980年から2シーズン古巣・南海の監督を務めましたが、持病の心臓病の悪化もあって戦績は振るわず、帰国。

その後マイナーリーグのコーチなどをしていましたが、10年前の今日・2005年4月13日に73歳で天に召されました。

阪神監督時代、不調だった掛布選手を起用しなかったことに関し、ファンは彼を見たくて球場に来ていると記者から問われた彼は、

「それは違う。 ファンは掛布の凡打を観に来ているのではない。

 ファンは掛布の素晴らしいヒットやホームランを観に来ているのだ。」

と反論したそうですが・・・ここに彼の監督としての信条、すなわち 「ベストの状態の選手を使うことが勝利の大原則」 が透けて見えます。

しかしその勝負師としての信念も、観客動員第一に考える球団には受け入れられなかったという事でしょう。

それから彼がアメリカ人の常識を日本向けにアレンジできなかったことも、監督として成果を出せなかった一因だったかもしれません。

いずれにせよ、彼が今や野球理論・戦術は世界一といわれる日本野球の基礎を築いたことは間違いないところ。

野球ファンとしては、あらためて日本プロ野球の恩人のご冥福を祈りたいと思います。笑3



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