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神隠し

皆さんは、グリム童話のひとつ


ハーメルンの笛吹き男

 Rattenfänger von Hameln


を読まれたことがあるでしょうか?

その昔ネズミが大量発生し、その被害に悩まされていたハーメルンという街に派手な服装をした流れ者が現れ、報酬と引き換えにネズミ駆除をもちかけます。

住民が報酬を支払うことを約束すると、その流れ者は笛を吹いてネズミをおびき出すとそのまま川に連れて行って溺れさせ、全てのネズミを見事退治。

しかし住民は約束を違えて報酬を払わなかったため、流れ者は激怒。

今度は笛を吹き鳴らして街の子供達をおびき出して洞窟に連れて行き、そのまま誰一人として戻ってくることはなく、親たちは悲観と後悔に明け暮れた・・・。

だいたいこんなストーリーなのですが、実はこれフィクションではなく、今から736年前の今日、実際に起きた事件を元にした物語なのです。

ハーメルンは、ドイツ・ニーヘダーザクセン州にある、人口約55,000人の都市。

    

1284年6月26日はちょうど聖ヨハネとパウロの祭礼の日にあたり、大人たちが朝から教会に集まっている隙を狙って男が笛を吹いて留守番をしていた子供たち130人をおびき出し、街はずれの山腹にある洞穴に連れて行くと、入口を岩で塞いだのだそうな。

その様子が、1300年頃ハーメルンに建てられた教会のステンドグラスに描かれていたといいます。


(この教会は1660年頃に破壊され、現存しているステンドグラスは過去の文献を参考に復元されたもの。)


  
     現存する最古の水彩画(1592年)     現在のステンドグラス


ネズミの大量発生も後に付け加えられた話だという説もありますが、実際行方不明になった130人もの子供たちはどうなったのか? これについては、

<◆笛吹き男は猟奇殺人犯で、全員彼に殺された。
◆子供たちは天災か病気で死んでしまった。
◆笛吹き男は十字軍のスカウトで、全員従軍させられた。


など様々な説がありますが、その中で信憑性が高いのは、当時の東ヨーロッパでは開拓者が盛んに移住していて子供が貴重な労働力であったため各地で誘拐事件が多発しており、ハーメルンの子供たちもルーマニアに連れ去られた・・・という説。

実際、ルーマニア中世に記された 『キルヒャーの見聞録』 には、「ある日突然、聞いたことのない言葉を話す子供が多数現れた」とあるそうですから、その一部がハーメルンの子供達だったのかも。

とすれば、これは史上稀な同時大量誘拐事件ってことになります。


また消えた130人は子供ではなく、集団でハーメルンの町を去った移民であり、笛吹き男は移民の仲介業者だったという説も。

いずれも今ひとつ決定打に欠ける気がしますが、皆さんはどの説を採用されるでしょうか?

因みにハーメルンでは、現在でもこの130人の子供達が通ったとされる道路で音楽を奏でたり踊ったりする事が禁止されているそうな。


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