相手を肉体的・精神的にいたぶることで満足するのがサディズム。
それとは逆に、相手にいたぶられることで性的快感を得る被虐症が、マゾヒズム。
サディズムの語源となったマルキ・ド・サド伯爵については、以前拙ブログ記事で取り上げました。
そして今日は、マゾヒズムの語源であるオーストリアの貴族であり小説家だった
レオポルド・フォン・ザッハー=マゾッホ
Leopold Ritter von Sacher Masoch
の命日・没後125周年にあたります。
マゾッホは1836年にガリツィア(現ウクライナ共和国)地方のレンベルクに生まれました。
プラハとグラーツの大学で歴史学を学び小説家となった彼は、当初故郷ガリツィアを題材にした歴史小説を書いていましたが、彼の名を一躍有名にしたのが、1871年に発表した
『毛皮を着たヴィーナス』 (河出文庫・刊)
ある青年貴族が、自らの生殺与奪の権限を委ねる旨の契約書を貴婦人と交わします。
そして彼女に支配される喜びを感じた彼は、彼女の前に別の美男子が現れることで嫉妬に狂い、更に快感が・・・。
実はマゾッホ自身、ファニー・ピストールという愛人と 「貴女の奴隷となり、その願望と命令を全て実現する」 という契約書を交わし、彼女に隷属したのだとか。
毛皮を身に着けた彼女に跪くマゾッホの写真が残されていますから、この作品はノンフィクションだと言えましょう。
また彼はアウローラ・リューメリンというお針子の若い女性と結婚し、彼女に同作の登場人物と同じ名前・ワンダを名乗らせた上で貴婦人に仕立て上げ、ファニー同様の誓約書を交わし隷従したとか。
しかし小説のエンディング同様、ワンダは青年ジャーナリストとパリに行ってしまい、2人の関係は10年程で終止符を打つのですが・・・。
たとえ契約書を交わしても、相手がサディストでないと長続きしないんでしょうかネ?
この小説を元にした映画 『毛皮のヴィーナス』 が、2013年に公開されています。
『戦場のピアニスト』(2002年)、『ゴーストライター』(2010年)などを手掛けたロマン・ポランスキー監督がメガホンを取り、ワンダ役に自らの妻エマニュエル・セニエを起用したこの作品で、1895年3月9日に59歳でこの世を去ったマゾッホの世界≒マゾヒズムの原点に触れてみませんか?
えっ、そういうお前は観ないのかって?
そりゃあ自分の日常生活と同じ光景を、お金出して観る気しませんもの。

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