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グランド

私のようにピアノを弾く人にとって、コンサートホールでこのピアノを奏でるのは、憧れだと思います。

プロのピアニストの98%が使用するという圧倒的な人気と信頼を誇る


 スタインウェイ・アンド・サンズ


Steinway & Sons

テレビでコンサート中継を観ると、ピアノにこの刻印が施されているのをよく目にすると思います。

    

この世界最高峰のピアノ会社が設立されたのは、今から167年前の今日のことでした。

同社を設立したのは、


 ヘンリー・エンゲルハード・スタインウェイ
        Henry Engelhard Steinway


というドイツ人。


       


1787年にドイツのブラウンシュヴァイクで林務官だった父の16番目(!)の子として生まれた彼は、折しも勃発したナポレオン戦争に父や兄が駆り出され、更に飢餓によって母親や兄弟の多くが死んでしまい、父親が戦地から戻ってきた時は3人しか残っていなかったとか。

その上15歳の時に落雷によって家屋が全焼し孤児になるという、過酷な少年時代を過ごしたそうな。

しかし、その後木工々場の守衛になったことが、彼の運命を決定づけました。

そこで身につけた技術を生かして木工職人となった彼は、戦争末期にはオルガン製作工場で働き始め、程なく独立して自身のオルガン修理工房を立ち上げます。

やがて当時普及し始めたフォルテピアノ・・・つまり現在のピアノに興味を持つと、以後その製作に取り掛かり、1836年には部品も全て手作りの第1号ピアノを完成。

そして1848年に欧州で革命が起きるや、長男のクリスティアン1人を残し、妻と残りの8人の子供を引き連れてアメリカへ。

(その長男が、ドイツのピアノ工房を引き継ぎました。)

渡米した際、
ハインリヒ・シュタインヴェークという名を英語風のヘンリー・スタインウェイに改めた彼は、1853年3月5日にニューヨーク・マンハッタンで 『スタインウェイ・アンド・サンズ』 を設立。

1857年に初めて特許を取得した同社は、19世紀末までにほぼ現在と同じピアノ製作技術を確立。

1860年代には新しい工場を建設したことで年間生産台数が500台から1,800台にまで増加。

    


1871年にヘンリーが亡くなった後も、社名の通り息子のウィリアム・スタインウェイによって会社は受け継がれました。

現在まで125件もの特許取得を重ね、それまでになかった独自の製造技術を開発してきた
同社のピアノは


◆楓材等の硬く緻密な木材を使用し、曲げ練り製法により一体として製造されたアウターリムとインナーリム


◆他社に比べ張力が低く、弦の倍音を有効に活用し音量を増大するデュプレックススケール


◆フレームとリムを連結し弦圧を最適化し高音域の響きをリムに伝えるサウンドベル


等々、現在は当たり前になっている音響工学を取り入れた設計により、特に大ホールで豊かな音色を出せるのが特徴だそうな。

私が敬愛する20世紀最高のピアニスト、V・ホロヴィッツがコンサート・ツアーに同社製の同じピアノを運び回ったのも頷けます。


       

※ちなみにそのコンサート・ツアーには、スタインウェイ社に所属する調律師も同行していました。(↓)


しかし製造に長い期間がかかるために生産台数が少ないスタインウェイの経営は順風満帆とは言えず、1972年にはCBSに買収され、その後複数回の買収を経て、1995年にはセルマー・インダストリーの傘下に。

そして現在はそのセルマーグループらと共に構成する楽器製造企業複合体スタインウェイ・ミュージカル・インスツルメンツの一角を担っています。

企業形態はかなり変わったものの、スタインウェイという名がしっかり残されているところに、音楽界におけるそのブランド力の強さが伺えます。

私も死ぬ前に一度、どこかのホールでスタインウェイのコンサートグランドを弾いてみたいものです。

もちろん、観客なしで。
あせあせ


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