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結 晶

皆さんは、子供さんから 「雪って、なぁに?」 と聞かれたら、どう答えますか?

簡単そうで、意外と難しいですょネ。 

答えとしては、〝水が氷の結晶になったもの〟だそうな。 

そしてその結晶を、皆さんは実際に顕微鏡でご覧になったことがありますか?

私は小学校高学年の頃、雪の降り積もった校庭に出て理科室から持ち出した顕微鏡で見たことが・・・。

どんな形だったか詳細に記憶はありませんが、授業で教えてもらった通り見事な六角形だったことだけは憶えています。

       

形は様々ですが、(一部例外はあるものの)見事な六角形を作る自然の力には、畏敬の念を禁じ得ませんが・・・実は、今から82年前の今日、世界で初めて人工雪の結晶化に成功した日本人科学者がいます。 その人の名は、


 中谷 宇吉郎 博士


       

中谷博士は1900(明治33)年に石川県の現・加賀市生まれ。

呉服商を営んでいた父親はショーウィンドウを作るなど中々先進的なアイデアマンだったそうで、息子を九谷焼の陶工にしようと考えていたとか。

しかし幸か不幸かその父親が急逝したことで、宇吉郎少年の運命は大きく変わります。

旧制小松中学から第四高等学校、そして東京帝国大学理学部物理学科へと進学した秀才の彼は、東大在学中に物理学者・作家であった寺田虎彦と出会い指導を受けたことで実験物理学の道へと進むことに。

大学卒業後も理化学研究所で寺田の助手となった中谷氏は、科学者としての姿勢や生き方、飽くなき好奇心など多くを学んだといいます。


2年間のロンドン留学から帰国して1930年に北海道帝国大学の助教授に就任し、翌年に京手と帝国大学で理学博士号を受けた彼が雪の結晶と出会ったのは、翌1932年の冬。


かねてより雪の結晶に興味があった彼は、降ってきた雪をガラス板で受け、それを顕微鏡で覗いたのです。

微妙に輝く透明な結晶の美しさに深く感動したことが、彼の結晶研究の原点に。

同じように顕微鏡を覗いても、ただ 「キレイだなァ」 と感心するだけだった凡人の私と、それを研究に結び付けた秀才の違いは大きかったようで・・・。あせあせ


北大に-50℃まで下げられる常時低温実験室を開設した中谷教授は、その室内で研究に没頭。

そして遂に、二・二六事件が勃発して1ヶ月も経たない1936(昭和11)年3月12日に、世界初の人工雪生成に成功したのです。


 
      常時低温実験室           世界初の人工雪結晶       


その後肝臓ジストマに罹患したり、大東亜戦争の影響で研究の中断を余儀なくされながらも、着氷防止など低温科学分野で多くの功績を残し勲一等に叙せられた中谷博士は、その一方で科学映画の製作・監修に携わったり、多くの随筆や書籍を残して青少年が科学に関心を持つよう努力を重ねました。

その著書の中で、私がオススメするのは、こちら。


 『雪』 (岩波文庫・刊)


           


そのものズバリのタイトルですが、同書は1938年に岩波新書から刊行されたものを1994年に同文庫が再版したもの。

天然雪の研究から人工雪生成に成功するまでの過程から、研究に打ち込む中谷博士の思い入れが伝わってきます。

(自然)科学に興味のあるお子さんには、是非読んでもらいたい一冊。

冒頭の雪の定義・・・実は、同著から抜粋したんです。 更に詳しく解説すれば、

〝昇華作用によって水蒸気が直接氷になったものであり、空気中に生じたその氷が地上に降りてきたもの〟

よく分からない方、あるいはもっと詳しく雪の生成メカニズムを知りたい方は、この本をじっくりお読みください。あせあせ

1962(昭和37)年に61歳で亡くなった中谷博士の存在は、もっと日本人に知ってもらいたい・・・そんなことを思いつつ、〝雪博士〟のご冥福をお祈り致します。


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