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一 途

創業社長には個性的な方が多いですが、この方はその中でもトップクラスかもしれません。あせあせ

今日は、その個性派創業者のお話を 『下坐に生きる』(神渡良平・著 致知出版社・刊) から抜粋・編集にてご紹介致します。

          ◆     ◆     ◆     ◆

大阪に靴下を製造販売しているダン(現・タビオ)という会社がある。

靴下業界に限らずアパレル業界は、売れ行きを予測しての見込み生産を行っている。 見込みが当たればいいが、外れると返品の山となってしまう。

またヒット商品が出た場合に備えて過剰在庫を抱えるわけにもいかないから、みすみす勝機を逸することも少なくない業界だった。

この見込み生産打破に挑戦したのが、ダンだった。

同社は全国の販売店の靴下屋、メーカーであるニット業者、そこの意図を供給する糸商、それを染める染色業者を、企業の枠を超えてコンピューター・ネットワークにつなぎ、共同作業するようにしたのだ。

これによって各段階の業者はその情報によって対応でき、売れる商品をうれるだけ供給できるようになったのだ。

そして不況下でも〝ダンの一人勝ち〟と言われる状況を作り上げた。

これを構築した同社の越智直正社長(現・会長)は、中卒で丁稚奉公上がりの経営者である。

      


「ワシは靴下のこと以外は何も知らん!」

と公言する程、靴下にのめり込んでいる人だが、逆に言えば靴下にかけては何から何まで知っている靴下馬鹿のような人である。

この越智社長が、ある夜夢を見た。 
靴下が頭を下げて頼んできたのだ。

「あんたしかいない。 日本の靴下業界を救うのは、あんたを置いてほかにない。」

越智社長は怪訝そうに答えた。

「そんなこと言うたかて、グンゼにも福助にも一流大学出の素晴らしい研究者がいる。 東レでもなんでも、ダンより資本の大きい企業がいっぱいある。 それなのに何でワシなのだ。 ワシ以外にも有能な人材はいっぱいおろうが!」

しかし、靴下は譲らない。

「企業の大小は関係ない。 大学出て、技術的なことを知っているかどうかも関係ない。 要は腹が出来ているかどうかだ。
腹が出来ていなければ、改革などできやせん。 靴下業界の運命は、あんたにかかっとるんや。」

「ワシは中学しか出ていない馬鹿だが、あんたもそれに輪をかけた馬鹿やのう。 靴下業界には立派な肩書の人がようけおるちゅうのに、ワシみたいな者に目をつけやがって。
しかしなぁ、不肖越智直正、頼まれたからにはやりまっせ。
やってやりまくりまんがな。 見ておくんなはれ。」

丁度、小学校の教室で徒歩競争のクラス代表に選ばれ、みんなの前で直立不動で宣誓しているような気分だったという。

越智社長は、寝ても覚めてもただ一筋に靴下に命を捧げてきた人だ。

資本もなけれ学歴もない。 何もなかったが、ただどこよりも素晴らしい靴下を作りたいという信念が今日のダンを作り上げるに至った。

その信念のもとに吸い寄せられるように、多種多様な能力を持っている人々が集まり、他では真似できないものを作っていったのだ。

「ワシは何も知りませんのや。 中学出の丁稚やもん。
でもなぁ、みんなが凄いんですわ。 よってたかっていい物を作りよった。」

という越智社長の言葉に、すべてが表れている。
縁が縁を呼び、類が友を呼んで、自分では思ってもみなかった方に導かれていく・・・。

そんな越智社長でも、「オレは一介の菜切り包丁でしかない」と嘆いた時があった。 学校も出ていなければ、独立しようにも元手がない。

ないない尽くしで諦めそうになる自分を叱り、弱気や腰砕けになることなく、一途に靴下の改良に賭けてきた結果、自分が正宗の名刀の光を放つようになったのだ。

人がある職業を選ぶのは巡り合わせだ。 
巡り合わせには天の深い配慮がある。

それを拒否することなく、そこで花を咲かせようと頑張る時、どんな菜切り包丁でも正宗の名刀に変わっていくのではないだろうか。


          ◆     ◆     ◆     ◆


この越智社長、「良い靴下かどうかは噛めば分かる」そうな。

まさに職人、いや仙人の境地ともいえますが、そんな叩き上げ創業者の自著があります。

 『靴下バカ一代  奇天烈経営者の人生訓 (日経BP社・刊)


    


これを読めば、なぜ靴下を噛むようになったか? また意外にも、越智会長は普段靴下を履かないのだそうですが、その理由も分かります。

寝ても覚めても、考えることは靴下の事ばかり・・・そんな靴下に人生を賭けた創業経営者の熱き想いから、エネルギーをもらえるかも!?

私は本書に記されている越智社長の言葉、

 「バカな大将は敵より怖い」

を、肝に銘じたいと思います。あせあせ


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