旧日本陸軍では、曹長の下で伍長の上。
現在の陸海空の各自衛隊では、二等陸曹・海曹・空曹に相当し、アメリカでは“Sergeant ”。
兵の指導係として彼らを叱咤激励し士気を鼓舞し部隊の統制を取る役目を担い、時に〝鬼〟が頭につく階級。
戦争映画やTVドラマで出てくるこの〝軍曹〟 といったら、皆さんは誰をイメージしますか?
私の場合は、何といってもこの人・・・
ヴィック・モロー
Vic Morrow
中年以上の方だったらよくご存じ、アメリカのTVドラマ・『コンバット!』 の主演俳優ですが、今日は彼の命日・・・早いもので、没後33周年にあたります。
1929年にニューヨーク・ブロンクスで生まれた彼は、高校を中退して海軍に入隊。
大学進学後に演劇の道へと進み、1955年・『暴力教室』で映画デビューすると、『コンバット!』 のサンダース軍曹役で一躍人気スターに。
この番組は1962年から5年間・152回にわたり放送された、第二次大戦での陸軍361歩兵連隊K中隊に所属する1小隊の物語。
子供の頃の私はこの番組が大好きで、再放送を欠かさず観てました。
戦争映画でしたが残酷な戦闘シーンや派手なドンパチはあまりなく、むしろ兵士たちの心理状態や葛藤を描く上質の〝ヒューマン・ドラマ〟。
サンダース軍曹が無線で交信する、
「チェックメイト・キング・ツー、こちらホワイトルーク・・・どうぞ!」
というチェスから取ったコードネーム・・・今でも耳に残ってます。
10年近く前にNHK-BSで再放送され、何本か懐かしく観ましたが・・・白黒で余り良質とはいえない画像ながら、その内容は21世紀でも十分視聴に耐える出来栄えでした。
このサンダース軍曹役の印象があまりに強烈で、『がんばれベアーズ』 (1976年公開)に出演していたのを見た私は、ヘルメットをかぶっていない彼の姿に少なからず違和感があったものです。
そんな彼の悲報が突然飛び込んできたのは、私が社会人2年目だった1982(昭和57)年のこと。
映画 『トワイライトゾーン』 のクライマックス・シーン撮影中だった7月23日に、爆風を受けて落下してきたヘリコプターのローターに巻き込まれ、共演していたベトナム人少女2人と共に即死。
まだ53歳の若さでした。
当時ニュース映像でその瞬間が放送され、衝撃を受けたことを覚えています。
(※このシーンは、当然のことながら映画ではカット。)
それでは、あの懐かしのオープニング〝コンバット・マーチ〟を聴きつつ、サンダース軍曹のご冥福を祈りたいと思います。