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キャンペーン狂騒曲 <下>

キャンペーンに入賞を果たしたのに、なぜ私が窮地に追い込まれたのか?


実はD社長、最初に私からのキャンペーン内容の説明をロクに聞いていたかったため、抽選会があるなんてことは全く頭になく、売上トップになれば自動的にビデオレコーダーが貰える・・・そう思い込んでいたんです。


そのことを私が知ったのは、打ち上げ抽選会の前日。 D社長が、


「おい、明日もらえるんだろ。 その〝ビデオ何とか〟っていうヤツ。」


と嬉しそうに電話口で私に言った時でした。


今更抽選で外れたら貰えないなんて言えるわけもなく、電話を切った私はすぐに上司に報告・相談したんですが、


「そもそも抽選会を考えたのはオマエなんだし、事前に周知徹底できなかったのもオマエの不手際。 
だからもし外れたら、オマエが自腹で買うしかないだろ。」


と、突き放されてしまいました。うー


当時ビデオレコーダーの価格は10万円以上。

私の給料の、手取りほぼ1ヶ月分ですョ。


嗚呼、あとは運を天に任せるのみ・・・。

(もしかしたら、1ヶ月タダ働きになるかも・・・。)


そんな恐怖感で前夜一睡もできなかった小心者の私は、命運を握る 〝ガラポン抽選機〟を自ら手配し、(頼むゾ!) と念を込めつつ玉をセット。


         


試しに自分で10回程トライしてみましたが、全部ハズレの赤い玉。ダメだぁ顔


イヤ~な予感を引きずったまま、全ての準備が整ってから1時間後の午後6時、キャンペーン表彰式が始まりました。


会場は社員や取引先総勢50名近くの参加者で熱気ムンムン。


乾杯後にしばし酒宴が盛り上がったところで、いよいよ抽選会の始まり始まり~。


司会役の私から


「それではまず最初に、今回のキャンペーンでまたまた売上第1位のD社長にご登場願いましょう!」


と振って、抽選機の前に引っ張り出します。


怪訝な顔をしているD社長に、


「ここは盛り上がりどころですから、勢いよく回してくださいョ。」


と耳打ち・・・すると、かなり酒が入ったD社長は、


「お、おう。 分かった。」


と言って、ガラポンの前に。


すると次の瞬間、なんと両手でガラポン本体を鷲掴みにしてユサユサ揺らし始めたのです。


「社長、社長。 そ~じゃないですって。 回すんですョ。」


「分っとるョ、そんなことくらい。 ちょっとおまじないをかけたのサ。


よ~し・・・まぁ、見てなって!」


と言うが早いか、取っ手を持ってグルングルンと全速力で5~6回は回転させたかと思うと、


「キェ~~~ッ!」


という気合(というか奇声)とともに急に手を止めると・・・ポロッと玉が一つ出てきました。


な、何とコレが一等大当たりのキンタ・・・あ、いや〝ゴールデンボール〟。驚き顔 ワォッ


「やりましたァ~、いきなり1等大当たりィ~!」


手にしたリンをガランガランと鳴らしながら叫ぶ私は、おそらくD社長以上に興奮していたはず。


他人の福引当選を心から喜んだのは、後にも先にもこの時だけでしょうネ。


しかし100分の1以下の当選確率だったゴールデンボールをいきなり最初に出すとは、類まれなる強運の持ち主ですワ。


皆にヤンヤの喝采を受け、ビデオレコーダーを手に上機嫌でタクシーに乗って帰ったD社長。。


結果的に全て丸く収まって、ホッと胸をなでおろした私や先輩社員は、その後遅くまで祝杯をあげたのです。


翌朝・・・少々酒が残って頭がガンガンしている私に、D社長から電話が。


「お~い、ナベちゃん。 この機械とテレビのつなぎ方、分かんねぇぞ!

すぐウチに来て、見えるようにしてくれヤ!」


・・・私ゃ、電気屋か!怒


もう、クッタクタ。


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キャンペーン狂騒曲 <中>

当時の私は取引先を40程担当していたのですが、その中で最も売上が大きかったのが、以前拙ブログ記事『五目並べ』シリーズに登場した、あのD社長の会社。(↓)


今回のキャンペーンにも是非ご協力を、と中身の説明に伺ったところ・・・D社長の口から予想せぬ一言が。


「ナベちゃんョ。 そのビデオレコーダーって・・・何だ?」


驚いた私が思わず、

「え゛っ、 ご存じないんですか?」

とうっかり口を滑らせたのが気に障ったらしく、Dさんは口を尖らせて、


「そんなワケの分からん物、ワシは要らん!」


と言って、プイッと横を向いてしまったのです。


(あちゃ~、しまった。) 


と思っても後の祭り。 自ら発案したキャンペーンに、自分にとって最大取引先の協力を得られなくなってしまったのです。


しょうがないので、他の取引先に足繁く通って何とか売上目標を達成しようと頑張ったんですが、苦戦が続きます。


そしてキャンペーンもあと1週間で締め切り・・・という某日。 


突然D社長から 「事務所に来い」 というお呼び出しが。

打ち合わせ用の机に手招きされて座ると、
なぜかDさんはいつになく上機嫌。


                 


そしていきなりこう言い出すのです。


「ナベちゃんょ~、いくら契約出せばキャンペーンのトップになるんだ?」


「えっ? この前までキャンペーンなんか知らないって言ってたじゃないですか?」


「いいから、教えろョ!」


後で分かったんですが、どうやらD社長はビデオレコーダーがあると、大好きな演歌番組を録画して好きな時に何度も観られることを誰かから教えてもらい、俄然やる気になったんです。


D社長の豹変で、めでたく私はイッキに個人目標を突破!扇子


営業課全体でも無事入賞ラインを突破したのですが、ここで一難去ってまた一難。


自分が考え出した事で、まさかあんな思いをすることになろうとは・・・。


                 ・・・・・To be continued


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キャンペーン狂騒曲 <上>

官公庁ならいざ知らず、民間会社であれば 〝販売強化キャンペーン〟 を行う会社は多いと思います。


(葬儀業界でもキャンペーンを実施する会社があるという話を以前耳にしたことがありました。 一体ナニを販売強化するのか?・・・私にはちょっと理解できませんでしたが。)うー


かつて私が勤務していた損保会社でも、毎年11~12月に〝積立保険キャンペーン〟なるものがあり、その時期が近づくと憂鬱になったものです。 


(生保業界でも、11月は昔から〝保険月〟って言われてますょネ。)


とは言え、これもお仕事・・・何としても入賞しなければ勤務評定にも響きますから、営業社員は必死になります。


そこで販売代理店さんに頑張ってもらおうと、各支店・支社では知恵を絞っていろいろな施策を打ち出すわけですが・・・。


約20年にわたる在職経験の中、何度も苦労させられたこの恒例行事(?)で、私には忘れられないキャンペーンがあります。


それは今から約30年前のこと。


毎年繰り返される積立保険キャンペーンに、代理店さんも食傷気味・・・何か今までと違うやり方はないか?・・・と営業課の社員全員で頭を捻る中、当時平社員だった私が提案した 『お楽しみ福引抽選会』 が採用されました。


従来は契約高上位の方から順に高額賞品をゲットしてしまうために、途中で諦めてしまう方が何人も出てしまっていたんです。


それを防ぐために、売上高○○万円につき1回の福引券を差し上げて、キャンペーン終了後に全員集まって福引大会を開催・・・これならば運次第で、売上げトップを取れなかった方でも一等賞が当たる可能性があるわけです。


そして皆さんがやる気の出る目玉賞品として、一等賞は 『ビデオレコーダー』 に決定!      


当時はホームビデオ規格戦争がVHSの勝利で決着がついた直後。

 ※その戦争に関する過去記事は、こちら。(↓)


誰もが欲しがる最新の電化製品ということで、キャンペーンのキックオフでも代理店さんの評判は上々、スタートの盛り上げは大成功。


ところがその翌日、予想外の問題が勃発したのです。うー


                   ・・・・・To be continued

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こころ

今日は、私の愛読誌・月刊『致知』11月号より、アサヒビール社友・福地茂雄氏の〝巻頭の言葉〟をご紹介します。

           ◆     ◆     ◆     ◆

「心だに 誠の道にかなひなば 祈らずとても 神や守らん」

菅原道真の作と伝えられるこの歌を私の母は生前よく口にしていました。

母は毎朝4時に起床し、神棚や井戸端の水神様、仏壇などに茶湯・米飯をお供えするのが日課でしたが、神仏に手を合わせる姿はついぞ見たことがありません。


しかし信仰心は人一倍篤く、ご先祖様を心から敬っておりました。

一方の父はも極めて熱心な日蓮宗の信者で、朝夕の朗々とした度胸の声は僧侶を凌ぐほどのものでした。

台東区の某仏具店の看板に、「こころはかたちを求め、かたちはこころをすすめる」 とあります。

こころは神仏を敬う心、かたちは神棚や仏壇を指しているのでしょうか。

かたちを整えることによって、神仏を敬うこころが養われることを説いているように思われます。

これを踏まえて両親の姿を振り返れば、父の信仰はかたちの後でこころに至り、母の信仰はこころを大切にしていたことが実感されます。

思いがけないところで、人間の生き方、さらには経営の在り方にも示唆を得た気がして、この言葉は深く印象に残っています。


       

今の我が国は、かたちにおいてはあらゆる方面で整ってきたと言えるでしょう。

しかし、かたちに伴うこころをどこかに置き忘れてきてはいないか、と私は憂慮しています。

サッカーや野球の国際試合では、顔に日の丸を描き、必勝と書かれた鉢巻を締めた若者たちが 「ニッポン、ニッポン」 と連呼する姿をよく見かけます。

しかし彼らには、自分の国を自分で守ろうとする愛国心はあるのでしょうか。

スタジアムで大きな旗を振りながら熱狂的な声援を送る彼らの中に、自分たちを育んでくれた郷土の〝かたち〟に愛着を持ち、郷土愛という〝こころ〟を育んでいる人がどれ程いるでしょうか。

企業においても、売上高や利益水準などの経営数値はかつてとは比べものにならないくらい大きくなりましたが、企業統治の不良や検査不正は後を絶ちません。

自分が求めて入った企業を愛する〝こころ〟が希薄になっているところに、その真因があるように思います。

教育においても同様です。

キャンパスという〝かたち〟だけは立派になりましたが、教育内容という〝こころ〟が近隣諸国や諸外国と比較して著しく劣っていることは、統計資料の示す通りです。

知識はもとより、人格を育み、人間をつくる教育は欠如していないでしょうか。

家庭も例外ではありません。

家屋は総じて立派になったものの、肝心の家庭がなくなった現状では、三世代同居という言葉も虚しく響くばかりです。

私の母は『あゝ玉杯に花うけて』『風の又三郎』といった少年小説を買い与えるなどして私の〝こころ〟を育んでくれ、父はご先祖様を敬う〝こころ〟の大切さを教えてくれました。

親は子を大切にし、子は親を敬う。

家庭の〝こころ〟はどこへ行ってしまったのでしょう。

国を愛するこころも、自分たちを育んでくれた郷土を愛するこころも、母校を愛し先生を尊敬するこころも、祖父母や両親に感謝するこころも、子や孫を慈しむこころも希薄になってきている今、私たちは〝かたち〟と同様に〝こころ〟も大切にしなければならないことを、胸に刻まなければなりません。


           ◆     ◆     ◆     ◆


祖国を愛する若者の比率が、日本は国際的に見て大きく劣るという統計がありました。

仏作って魂を入れ忘れた結果が、そこに出ているといえるかもしれません。


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情 熱

今日は我が愛読誌・月刊『致知』10月号より、藤尾秀昭編集人による巻頭エッセーを、一部抜粋・編集にてご紹介させていただきます。

           ◆     ◆     ◆     ◆

「人に大切なものは知識よりも才能よりも何よりも真剣味であり、純潔な情熱である。」

安岡正篤師の言葉である。

情熱なきところ、いかなる能力も開花するはずがない。
情熱はあらゆる創造の源泉である。

芸術家であれ科学者であれ経営者であれ、誰もが感嘆せずにはいられないような仕事を成した人間は皆、自らの仕事に情熱の限りを尽くした人に他ならない。

先日、北尾吉孝氏率いるSBIホールディングス創業20周年を祝う会が帝国ホテルで開催された。

創業時の社員55人、資本金5千万円。
それが今は社員6千人超、株式時価総額6千数百億円の会社となった。

20年でこれだけの会社に育てられたのは、まさに偉業である。
会場で北尾さんの挨拶を聞きながら、ある人の言葉を思い出した。

「天才とは、天の力を借りられる人」。

一代で偉業を為した人は皆、天の力を借りられた人である。
エジソン然り二宮尊徳然り、松下幸之助氏も稲盛和夫氏もそうである。


       

では、どういう人が天から力を借りられるのか?

その第一条件は、その人が自らの職業にどれだけの情熱を注いでいるか・・・この一点にあるように思える。

「誰にも負けない努力をする」・・・稲盛氏はこれを自らの信条とし、人にも話してきた。

「誰にも負けない努力」 を、氏はこう表現する。

「一点の曇りや邪心もない純粋な心を持って、燃えるような情熱を傾け、真摯に努力を重ねていくこと。」

〝狂〟がつくほどの努力、とも言っている。 そういう人に

「神はあたかも行く先を照らす松明を与えるかのように、知恵の蔵から一筋の光明を授けてくれる。」


誰にも負けない努力とは、言い換えれば天が応援したくなるほどの努力、ということだろう。

そういう努力をする者のみが天の力を借りることができるのだろう。

二宮尊徳にも、こういう言葉がある。

「おおよそ、人の勲功は心と体との二つの骨折りに成るものなり。
その骨を折りてやまざれば必ず天助あり。」

そしてこう付け加えている。

「骨を折れや二三子(にさんし=そなたたち)。 勉強せよ二三子。」

先知先賢の一致して説くところを私たちも学びたい。

最後に、坂村真民さんの詩 『鈍刀を磨く』 を紹介する。

  鈍刀をいくら磨いても 無駄なことだというが
  何もそんな言葉に 耳を借す必要はない
  せっせと磨くのだ
  刀は光らないかもしれないが 磨く本人が変わってくる
  つまり刀がすまぬすまぬと言いながら 
  磨く本人を 光る者にしてくれるのだ
  そこが甚深微妙の世界だ
  だからせっせと磨くのだ

情熱を持って生きることの大事さを説いて珠玉の言葉である。


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マスク

エネゴリ君の店に行く時、私はその日の朝に「今日〇時頃行くからネ」と彼にメールをするんです。

通常は昼の開店前に「お待ちしてます」とか「了解しました」って返事が来るんですが、先日は送信した直後に返信が。

通常は寝てるはずなのに、珍しい事もあるもんだ・・・と、その日入店してカウンターに座るなり、そのことを尋ねると、

「いや、たまたま家に帰った直後だったんスょ。」

「ってことは、午前様かい。40歳過ぎて徹夜で飲むとはサスガだネ。」

「いや、もうそんなことできないっス。 友達と池袋で飲んで西武池袋線の練馬駅まで送った後、電車の中で寝過ごして小手指まで行っちゃったんですョ。」 (※下の地図参照)


 

「えっ、だってお前さんの家は東武東上線沿線じゃん。 わざわざ違う路線に乗って送ったってことは・・・ははぁ~ん、相手は女性だろ。」

それを聞いてギクッとエネゴリ君が狼狽えたのを、私が見逃すはずはありません。

「じゃあ、久々に彼女が出来たわけだ。 良かったじゃん!
んで、昨日のデートは何回目?」

「2回目っス。」

「何だょ、全然嬉しくなさそうじゃん。」

「えぇ、あんまり顔がカワイくない子なんですョ。」

「ジャガイモみたいな顔してるくせに、相手のことをよく言えるナ。」

(ここでバイトの女性が、思わず頷きました。)

「だったら、なんでもう一度デートしたんだョ。」

「最初の時は、彼女マスクしてたんですょ。

目が綺麗だったんでまた誘ったんですが・・・。」


「で、昨夜はマスクしてない彼女を見て、ガッカリ?」

「そうなんスョ。 それで思わず飲み過ぎて寝過ごしたんです。」

「でもさぁ、キミ練馬で降りたんだろ?」

「えぇ、家まで送ってから池袋行きに乗ったんですが・・・そこから寝入ってしまって、池袋で起きられず目を覚ましたのが折り返しの小手指駅だったんです。」

「慌てて降りて、それからどうしたの?」

「上り電車がもうなかったんで、公園のベンチで寝て午前5時台の電車で帰ってきたら、渡辺さんからのメールが届いたってワケです。」

「なんて言っていいのやら・・・それで、彼女とは付き合い続けるつもりなの?」

「どうでしょうネェ・・・。」


「彼女から今日メール来てないの?」

「来ましたョ。 送ってくれてありがとうって・・・でも、また飲みましょうとは書いてなかったッス。」

「そりゃあ、相手の女性にお前の心中を見透かされたんだろうョ。
しかし40歳過ぎた独身男が、まだ女性を顔で選んでるようじゃ、当分結婚は無理だわナ。」

バイトの女の子がここでも大きく頷いているのを、エネゴリ君は見ていたかどうか・・・。


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恰 好

今日は、我が愛読誌・月刊『致知』7月号から、発行人・藤尾秀昭氏の巻頭エッセーを抜粋・編集にてお届けします。

           ◆     ◆     ◆     ◆

今月号のテーマ〝命は吾より作(な)す〟とは、運命は自分が作る、ということである。

自らの道を自ら切り開いてきた人は皆、命を吾より作したひとである。

10歳で丁稚奉公に入り、一代で大企業グルーブら創った松下幸之助さんは、その最たる存在である。

ある年の入社式で、松下幸之助ささんはこう訓辞している。

「君らな、僕が今から言う二つのことを守り通したら、松下電器の重役になれる。

一つは、いい会社に入ったと思い続けられるかどうかや。


入社したばかりの時はそう思っても、嫌な上司に出会ったり意に沿わない仕事をさせられてもなお、いい会社に入ったと心からおもえるかどうかは、すごく大事なことや。

もう一つは、社会人になってお金が一番大事と思ったらあかん。

もちろんお金も大事だが、お金はなくしても取り戻せる。


しかし、人生にはこりを失うと取り戻すのに大変苦労するものがある。

それは、信用や。 信用を大事にせなあかん。」

これに付言して、松下さんはこうも言われた。

「人間、9割は自分ではどうにもならない運命のもとに生きている。
その運命を呪ってはいけない。 


喜んで受け入れる。 すると運が良くなる。」

命は吾より作す心得を説いて含蓄深い。

       

〝命〟について、安岡正篤師はこう言っている。

「人間が浅はかで無力だと、いわゆる〝宿命〟になる。
 人間が本当に磨かれてくねると〝運命〟になる。
 即ち、自分で自分の〝命〟を創造することができるようになる。

 それを〝命は吾より作す〟という。」

卓見である。 


ではどうすれば人間を磨き、自分の命を創造できるのか。

古来、多くの先哲がそのヒントになる金言を残している。
ここに先哲の言葉を3つ添えておきたい。

一は『論語』より、「人の生くるや直(なお)し。」

人が生きていく上で最も大事なことは、素直であることだ・・・と孔子は教える。

人間性・個性というが、〝性〟の偏〝忄(りっしんべん)〟は、心が天地に対してすっくと立っていることを示している。

心が歪んだり捻じ曲がったりしていると人間性も個性も発揮できない。
性格が歪んだ人は人生も歪む、孔子が素直を重んじた所以である。

次に『易経』より、「性を尽くして以って命に至る。」

ここで言う〝性〟は天から授かったもの、持って生まれた能力のこと。
それを全て発揮し尽して天命に至ることができる、というのである。

これは命を吾より作す上で欠かすことのできない秀作だと言える。

多くの先達が様々な表現でこの大事を説いている。

坂村真民さんの詩にも、こういうのがある。

「なにごとも 本腰にならねば いい仕事はできない
 新しい力も うまれてはこない 本気であれ 本腰であれ」

最後に、趙州禅師の話。

弟子が名僧といわれた趙州に「大困難がきたらどうしますか」と問う。

趙州は一言、「恰好」 と答えた。

格好とは「よしきた」ということである。


人生に起きる「まさか」にヘナヘナとなってはいけない。
「よしきた」と応じる。

その姿勢こそ吾より命を作す根幹となる。 心したい。


           ◆     ◆     ◆     ◆

先達の言葉に素直に耳を傾け、実践したいものです。


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意 表

相変わらず夕食抜きダイエット継続中の私・・・2月から4ヶ月余り経過して約12キロ落ち、リバウンドなし。

ってことで、エネゴリ君の店には相変わらずランチ時に行っています。

先日も正午前に入店したんですが、パスタはいつものトマトソースではなく、今回はオリーブオイル仕立ての『甲イカと小松菜』をチョイス。

そして特段辛くしてくれ、とは頼みませんでした。

待つこと暫し、目の前に出されたのが、こちら。(↓)

    

見た目は全然辛そうじゃなかったんですが、一口食べたら・・・

「何コレ。 この前辛くしてって頼んだトマトソースより辛いじゃん。」

「エヘヘ、分かりました?」

「どうやって辛味を出したの? 赤くないけど。」

「唐辛子を細かく砕いて入れたんですョ。 


だから見た目分からないんです。 


普通は1人前に唐辛子1本なんですけど、ハーフサイズに3本入れましたからねェ。 ビックリしたでしょ。 ウッホッホ!」

「何だ、この前のリベンジかョ。 でも意表突かれたナ~。」(↓)



「そう言っていただけると、嬉しいッス。」

「オレが辛味を感じるんだから、普通の人には相当辛いはず。


だけどもっと辛くしたいから、激辛のタバスコ・・・いや、オリーブオイルだから合わないナ。 激辛唐辛子おくれ。」

    

「え~、そんなに唐辛子かけるんですか?

もう人間の食べるもんじゃないですョ。」

・・・ゴリラに言われたくないっつぅの。


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恐怖の商談 <下>

「〝北〟の人間でも、ソウルに行けるのか?」


全く予期しない質問をぶつけられた私は、一瞬頭が真っ白。


(えぇ~、そんなこと知らないょ~。) 


そこで私はA社長に、 「それは保険会社には分かりかねますので、旅行会社に確認させていただけますか?」 と電話を拝借。


当時は携帯なんて存在していませんでしたからネ。


旅行会社の担当者に質問内容を問いただすと、


「いやァ、どうですかねェ・・・多分行けるとは思いますけど。」


(何だょ、旅行会社のくせにはっきり分からないのか!)

一瞬ムッとしましたが、一刻も早く事務所を出たい私は受話器を手にしたまま、思わずこう叫んでしまいました。


「そうですか。 大丈夫なんですネ。 どうもありがとうございます!」


(あ~あ、言っちゃった。)


電話を切るなり、社長の顔を見て、精いっぱいニッコリ。 社長さんは


「そうか、良かった。 ソウルに行くのが楽しみだ。」


と上機嫌。 やっと解放された私は事務所の外に・・・そしてドアを閉めた後は駅まで猛ダッシュ!


       


帰社するや否や、私は紹介してくれた方に電話で猛抗議。

「何で相手の素性を教えてくれなかったんですか!」


すると彼はカラカラと笑いながら、


「いやァ、ごめんごめん。 

だって本当の事を言ったら、ナベちゃん行かなかったろ?

それにキミなら知らずに行っても、何とかするだろうと思ったんだョ。」


おいおいっ、それって褒め言葉か?うー


兎にも角にも、この件は一件落着。 


私もいつしかこの恐怖体験を忘れていたのですが・・・1年以上経ったある日、オフィスの電話を取った女子社員が私にこう告げたのです。


「渡辺さん、Aさんって方から電話ョ。」


その名前を耳にした瞬間、私は心臓が口から飛び出すかと思いました。


5回ほど深呼吸をして電話口に出ると、A社長はいきなり、


「おぅ、アンタか。 

去年契約した保険だけどさァ。 あれ分割払いになってるけどし安くて済む一括払いもできたっていうじゃねェの。 

何でちゃんと説明しなかったんだョ!」


(だって、説明は要らないっていったの、アンタでしょうが!)


な~んて思っても口に出せるワケはなく、「す、すみませ~ん。」 直立不動で受話器を手にしたまま、机に頭をぶつける程おじぎをする私。


(嗚呼、事務所に来いって言われたらどうしょう・・・。)


ほんの数秒間のはずでしたが、私には1分以上にも感じられた沈黙の後、


「・・・まぁ、いいか。 どうせ大した金額の差じゃねぇし。 じゃあナ。」


そういってA社長は電話を切ってくれました。


(だったら電話なんかかけてこないでょ。 でも、よ、良かったァ~!)


幸い(?)、私はその翌月に転勤辞令を受けて東京を離れることに。


その後何回も転勤で東京と地方を行ったり来たりしましたけど、東京を離れるのが嬉しかったのは、この時だけでしたネ。


 【 教 訓 】

     郵便受けや入口に

        社名が入っていない事務所には、

               迂闊に入っちゃいけません!


えっ? そんなことよりA社長夫妻は無事ソウルに行けたのかって?


その後ご本人からの〝お呼出し〟がなかったですから、オリンピック観戦には行けたのでしょう。


・・・多分。あせあせ シ~ラナイッ


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恐怖の商談 <中>

「おぅ、それで保険に入れば、オリンピック行けるんだって?」


ソファーに座るなりそう聞かれ、「あっ、はい。 それでこの保険は・・・」 と上ずった声で説明しようとする私を遮るように、 A社長は言葉を続けます。


「余分な説明は要らねぇよ。 


オレはオリンピックに行ければそれでいいんだ。 


女房と二人で申し込むから、契約書作ってくれョ。」


聞けば、社長も奥様も在日2世。 


オリンピックを見がてら、どうしても祖国の土を踏みたいのだとか。


「そうでしたか・・・分かりました。 では早速書類を作りましょう。」


そう答えた私はカバンから申込用紙を出して、必要事項をA社長から聞きながら記入していきます。


本当は契約者本人に署名してもらうべきなのですが・・・A社長の話を聞いている最中、あわただしく若い〝社員〟が 「組長!」 と言って部屋に入ってくるなり、


「客人の前では社長って言えっ、バカヤロウ!!」


「すみません、社長。 ちょっと○○組のヤツらが電話でグチャグチャ言ってるんですが、どうしやしょう?」


「だから客人の前でそういう話をするなってんだ。 すっこんでろ!」


「へ、へい。 すみません。」


目の前でそんな会話を聞かされたら、とてもじゃないですけど 「自分で書いてください。」 なんて言えるわけもなし。 


    計約


(契約書にハンコをもらって、一刻も早く事務所を出なきゃ!)


内心焦れば焦るほどペンを持つ手に力が入り、震えて字がうまく書けない私。


「おいおい、どうした。 何ビビッてんだ?」 


なんて見透かされないか、気が気ではありませんでした。 


この時、初めて喚問で国会に呼び出された証人の気持ちが分かった私・・・。


ぎこちない字で申込書を書き上げ、A社長から捺印をもらって手続きは完了。


「それでは失礼します。」


と内心ホッとしながらドアに向かって歩き出したその時・・・私の後ろから、突然A社長の声が。


「ちょっと待ちな。 ひとつ聞き忘れてたことがあった。」


「えっ? な、な、何でしょうか?」


「女房の両親は〝北〟の出身なんだけど・・・それでもソウルに行けるょナ?」


・・・え゛っ? うー


         ・・・・・To be continued


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